この記事の監修ドクター
自然療法医 ヴェロニカ・スコッツ先生
ブラジルのリオグランデドスル・カトリック大学認定の自然療法専門医。アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得しており、専門医として自然由来のサプリメントに関する知識と精密な現代科学のデータを組み合わせて診断や治療を行っています。自身のフィットネスインストラクターとしての16年間の経験を活かし、多くの患者が抱える肉体的な問題だけでなく、精神的な問題も含めて、自然由来のサプリメントを用いた新しい“先見的な予防医学”にも注力しています。
一酸化窒素と人体への作用
一酸化窒素(化学式:NO、英語名:nitric oxide)は、窒素と酸素からなる無機化合物です。常温、常圧では気体として存在し、色やにおいはありません。
一酸化窒素は自然界では高温で窒素と酸素が反応することにより生成されますが、酸素と触れると直ちに二酸化窒素に酸化されてしまうので、比較的安定性が低い気体といえます。
空気中の気体としてはあまりイメージがしにくい一酸化窒素ではありますが、実は生体内ではとても重要な役割を果たしています。
それが知られるようになったのは、ほんの二昔前のことです。
生体内で一酸化窒素が発見されたのは、1980年代のことでした。当時から心臓病の治療薬や降圧剤としてニトログリセリンが用いられていましたが、なぜ効いているのかは不明なままでした。
しかし、学者達の研究により、その降圧作用のしくみに一酸化窒素が大きく関わっていることが明らかになりました。
その功績が称えられ、一酸化窒素の発見に関わったフェリド・ムラド、ロバート・ファーチゴット、ルイ・イグナロの3人の学者は、1998年にノーベル医学、生理学賞を受賞しています。
また、最新の研究では、一酸化窒素には降圧作用だけでなく、さまざまな作用があることもわかってきています。一酸化窒素の生理作用については、後で詳しく解説します。
アルギニン・シトルリンと一酸化窒素
アルギニン、シトルリンは、どちらもアミノ酸の一種で、生体内での一酸化窒素の合成に大きく関わっています。
生体内では、アルギニンが酵素反応によってシトルリンに変換される際に一酸化窒素を生じます。
つまり、体内では、アルギニン→シトルリン→アルギニノコハク酸→アルギニンというサイクルができており、その中で一酸化窒素が生成されています。
そのため、体内の一酸化窒素を増やすためには、アルギニン、シトルリンの両方を摂取していくとより効果的になります。
一酸化窒素の血管拡張作用
一酸化窒素の血管拡張作用は、最もよく知られている作用です。この作用は前述した降圧作用に大きく関わっており、それ以外にもさまざまな疾患に臨床適用されています。
一酸化窒素による血管拡張作用のメカニズムをひとことで言い表すと、カルシウムイオンが細胞の外に出て行くことによる筋弛緩です。
これからその仕組みを少し専門的に解説していきますが、要は血管の筋肉が緩むことにより拡張するんだなくらいの感覚で大丈夫です。
一酸化窒素が細胞の中に入ると、血管の収縮に大きく関わる酵素が活性化されます。
この酵素が活性化されると、カルシウムイオンの放出に関わる物質が増加します。
細胞の中にカルシウムイオンが多ければ筋肉は収縮し、逆に少なければ筋肉は緩みます。増加した物質によって、細胞内のカルシウムイオンの量が減ることで、血管の筋肉が緩み、拡張が起こるのです。
次項からは、一酸化窒素の血管拡張作用がどのように臨床応用されているかをご紹介していきます。
血管拡張作用の臨床応用例
一酸化窒素の血管拡張作用はさまざまな病気の予防や症状改善に臨床応用されています。
心疾患
血管拡張作用が臨床応用されている代表的な分野が心疾患です。降圧薬としてだけでなく、血管の狭窄を改善させるために、狭心症や心筋梗塞などの心臓の血管が詰まってしまう病気の治療に用いられています。
動脈硬化
一酸化窒素には、動脈硬化を予防する働きもあるとされています。動脈硬化とは、血管の筋肉が固まってしまい、しなやかさがなくなってしまっている状態のことを言います。
また動脈硬化では、血管内に血栓やコレステロールが付着し、詰まってしまうことにより血流が悪くなってしまうということも頻繁に起こります。
一酸化窒素には、前述の通り血管内の筋肉を弛緩させ、拡張を促す作用があります。そのため、細胞内に一酸化窒素が豊富に存在していれば血管の筋肉が柔らかくなり、しなやかさを維持することができます。
また、一酸化窒素には血小板凝集阻害作用もあり、血管内に血栓ができることを防止する働きもあります。
事実、動脈硬化が起こってしまっている血管では、一酸化窒素の産生量が低下しているということもわかっています。
なので、体内での一酸化窒素の産生を活発化しておくことで、動脈硬化防止にもつながってくるのです。
勃起不全(ED)
男性が性的興奮を感じると、脳内では一酸化窒素が放出されます。その血管拡張作用により陰茎の血流量が増加し、勃起するということが知られています。
EDの治療薬として有名なバイアグラは、一酸化窒素を放出するわけではありませんが、仕組みとしては同様の作用を利用しています。
バイアグラは、前述したカルシウムの放出に関わる物質の分解を妨げることによってその作用を増強し、ED改善を促します。
そのため、アルギニン、シトルリンを摂取していると、精力増強も期待することができます。
認知症予防
一酸化窒素には、認知症予防効果があるともいわれています。認知症の患者さんでは、しばしば脳の血流が悪くなってしまっていることが確認されています。
脳内の血流が低下することにより慢性的な酸素の供給不足や代謝障害が起こり、認知機能が低下してしまうのです。
一酸化窒素には、前述の通り血管拡張作用があります。その作用によって、脳内の血流量が改善され、記憶力や集中力の向上が期待できるとされています。この効果は認知症の患者さんに限ったことではなく、健常者の方にも同様な効果が見込めるといわれています。
トレーニング効果
病気の治療以外にも、一酸化窒素はトレーニング効果を高めることが期待されています。
血管拡張作用により血流量が増加し、より多くのアミノ酸や糖分を素早く筋肉に届けることが可能になります。
その結果、筋タンパク質の合成を促進し、より筋肉量を増やすことができます。
その他
他にも、血流が良くなることにより冷え性、肩こりやむくみの改善も期待できます。
また、血管をしなやかに保つことができるため、一酸化窒素にはアンチエイジング効果も期待されています。
体は血管とともに老いていく、といわれているくらいなので、血管を健康に保つことができれば若々しい体を維持することが可能になります。
免疫作用と一酸化窒素
一酸化窒素は、免疫作用にも関わっていることが知られています。免疫とは、体の中に病原菌や異物などが侵入してきたときに体がそれを認識し、除去を行い自分を守る働きのことです。
免疫には、単球、リンパ球などの白血球をはじめ、様々な細胞が関与していることが知られていますが、一酸化窒素は、その中でもマクロファージと呼ばれる細胞から産生されています。
マクロファージは、貪食細胞(どんしょくさいぼう)とも呼ばれていて、体内に侵入してきた異物を取り込んで分解する働きがあります。そのほかにも、炎症などの刺激によって活性化されたマクロファージは一酸化窒素を放出して、がん細胞や病原菌を攻撃する働きも持っています。
刺激によって産生される一酸化窒素は、ある特別な酵素から作られます。この酵素は普段は細胞内に存在せず、免疫反応の刺激によって誘導される酵素です。この酵素によって産生される一酸化窒素の濃度は、通常生体内で産生されている物よりもはるかに濃度が高く、その濃度は数百倍にも上るといわれています。
産生された一酸化窒素は、病原菌やがん細胞の膜を通過し、細胞のエネルギー産生に関与している酵素の働きを失わせます。これにより、細胞はエネルギー不足に陥り、死滅していきます。
このように、一酸化窒素は免疫反応においても大きな役割を果たしています。
一酸化窒素は、体内に入ってきた病原菌や異物を除去するためには、欠かすことのできない物質だということができます。
アルギニンには、一酸化窒素産生の他にも、体内のタンパク質合成を活性化する働きもあります。体内のタンパク量が増えれば、白血球やマクロファージの数も増え、上記の免疫作用がより高まります。臨床でも、手術後に体力が落ちた患者さんにはアルギニンが含まれた点滴が投与されています。
また、前述の通りアルギニンはシトルリンと一緒に摂取すれば一酸化窒素を効率的に増やすことができるので、より効果的になります。
アルギニンが多く含まれている食べ物
一酸化窒素産生の基質となる、アルギニンが多く含まれている食べ物をご紹介していきます。
アルギニンは必須アミノ酸ではないので、必ずしも食べ物から摂取しなければならないわけではありませんが、生体内で産生される量はそれほど多くはありません。
そのため、食事から摂取して補填していくことをおすすめします。
順位 | 食品名 | 成分量(100gあたり) |
---|---|---|
1 | 肉類、ゼラチン | 7.9g |
2 | 豆類 | 6.7g |
3 | スイカ、種実類 | 5.1g |
4 | 鶏卵、卵白 | 5.0g |
5 | 魚介類 | 4.9g |
アルギニンは、鶏肉や豚肉などの肉類や、大豆製品に多く含まれていることがわかります。
シトルリンが多く含まれている食べ物
アルギニンと同じく、一酸化窒素の産生に重要な役割を果たすシトルリンですが、どのような食品に含まれているのでしょうか?ご紹介させて頂きます。
順位 | 食品名 | 成分量(100gあたり) |
---|---|---|
1 | スイカ | 180mg |
2 | メロン | 50mg |
3 | 冬瓜 | 18mg |
4 | ニガウリ | 16mg |
5 | キュウリ | 9.6mg |
スイカやメロンなどの果物や、キュウリ、ニガウリなどの瓜系の野菜に多く含まれていることがわかります。
ただ、表に示されている量を食品からとるためには、かなり多くの摂取量が必要になります。スイカでいうと約0.15個、メロンでいうと約1.3個、冬瓜だと3.8個、ニガウリだと約24本、キュウリでいうと約56本の量が必要になります。
こう見ると、食品のみからシトルリンを摂取するのは、難しいように思えます。そのため、シトルリンを効率的に摂取するためにはサプリメントの使用が有効だといえます。
アルギニンとシトルリンの推奨摂取量
アルギニンが体内で効果的に働くためには、1日約3,000mg以上の摂取が必要だといわれています。
また、シトルリンの場合だと、1日約200mg~1,000mgの摂取が推奨されています。
先ほどの表を見てみると、アルギニンは肉や大豆を意識して食べていれば摂取できそうですが、シトルリンの方は難しそうです。
スイカでいうと440g、メロンでいうと1600gの換算になります。この量を継続的に摂取するというのは、中々難しいのではないでしょうか。
アルギニンとシトルリンをサプリメントで摂取する
アルギニンとシトルリンは食品からでも摂取できますが、毎日の食事の中に取り入れていくのは大変なことです。特にシトルリンは食品の中に含まれている量が多くはないので、毎日摂取していくのは難しいでしょう。
そこで便利なのがアルギニン、シトルリンを含んだサプリメントの使用です。サプリメントを使えば、毎日の食事に付け加えるだけで必要な栄養量を摂取することが可能になります。
また、持ち運びも可能になるため、外出先でも栄養を簡単に摂取することができます。
ついつい不足しがちな栄養を摂取していくためには、非常に有効な手段であるといえるでしょう。
サプリメントを選ぶ際のポイント
前述した通り、アルギニンとシトルリンは一酸化窒素の合成に深く関わっています。
そのため、2つの成分を同時に摂取することで、生合成のサイクルをより活発化することができます。サプリメントを選ぶ際は、この2つの成分が一緒に含まれている物を選ぶと良いでしょう。
また、前述した推奨量がきちんと含まれているかも重要なポイントです。せっかく毎日摂取していても、量が足りていないと体の中でしっかりと働いてくれません。
サプリメントを選ぶ際には、しっかりと含まれている成分の量を確認してから選ぶようにしてください。
おすすめのサプリメント
ドクターズチョイスでは、アルギニン、シトルリンの両方を効率的に摂取できるようなサプリメントを開発しました。
それがこのL-アルギニン5000プラスと、アルギニン5000シトルリン2000プラスです。
それぞれの特徴、違いについて詳しく解説していきます。
L-アルギニン5000プラス
L-アルギニン5000プラスは、パウダータイプのサプリメントで、アルギニンの含有量は5000mgと業界トップクラスの量となっています。
また、アルギニンとシトルリン以外にもビタミンCやビタミンE、葉酸やマグネシウムなどの栄養素が含まれています。これらの栄養素は、ノーベル賞を受賞したイグナロ教授が著書の中で推奨している配合で含まれています。
イグナロ教授によれば、これらの成分が体内で相乗効果を起こし、アルギニンとシトルリンの効果を最大限に発揮できるようになるとしています。
飲み方は、コップ一杯の水に溶かして飲んでいただくだけです。シトラスフレーバーで飲みやすく、クエン酸で中和されているため胃に負担もかかりません。計量不要の個別包装となっているため、持ち運びにも便利です。
アルギニン5000シトルリン2000プラス
アルギニン5000シトルリン2000プラスは、L-アルギニン5000プラスと同様にパウダータイプのサプリメントで、ほぼ同じ成分が含まれていますが、シトルリンの含有量が異なっています。
L-アルギニン5000プラスにはシトルリンが200mg含まれていますが、アルギニン5000シトルリン2000プラスには2000mgとなっており、かなり多くなっています。
お客様の声で、もっとシトルリンが多く含まれているサプリメントがほしいとの要望があったので、それに応える形で開発された商品です。
シトルリンの量以外には、フレーバーの違いがあります。アルギニン5000シトルリン2000プラスは、ピーチフレーバーとなっており、甘くて飲みやすい味となっています。
まとめ
一酸化窒素には、血管拡張作用があり、血流が促進されます。それにより血圧下降作用、精力増大作用、冷え性、肩こり、むくみの改善など、様々な効果が期待されます。
また、それ以外でも一酸化窒素には動脈硬化防止、免疫作用や認知機能の向上など有益な効果がたくさんあります。一酸化窒素の体内産生には、アルギニンとシトルリンが大きく関与しています。食事に取り入れて摂取していくこともできますが、毎日継続して必要量を摂取していくのは難しいことです。
そのため、サプリメントを使用して手軽に摂取していくことをおすすめします。サプリメントを選ぶ際には、しっかりと含まれている成分の量を確認してから選ぶことが重要です。実際に効果を実感するには少なくともアルギニン5,000mg以上、シトルリン200mg以上が必要といわれています。
ドクターズチョイスのL-アルギニン5000プラスとアルギニン5000シトルリン2000プラスはともに1日分で効果の実感できるアルギニン5,000mg、シトルリン200mgの摂取が可能となっています。
臨床試験に基づいた、効果を実感するためのサプリメントです。