【医師監修】DHA・EPAは中性脂肪やコレステロールなどの血中脂質を減らせる?
DHA・EPAとは?
DHAとEPAは、すでに知らない人はいないのではないかというくらい、有名な成分です。これらの成分を摂取すると、頭が良くなるということはよく知られています。確かにそうなのですが、最近はどんどん研究が進んできて、それ以外の効果もあることがわかってきました。ここでは一般的に知られているそういった情報よりも、さらにくわしく解説していきます。
【DHA(ドコサヘキサエン酸)】
人間の身体に必要な栄養素、必須脂肪酸のひとつです。目の網膜・胎盤・脳・心臓・母乳など、とても重要な部分に含まれています。脳細胞に特に多く存在し、脳の機能を活性化する働きや、脳卒中・動脈硬化などを抑制する働きもあります。DHAは人が自分でつくり出すことができず、食べ物から摂る方法しかありません。
脂肪酸(脂質)にはいくつかの種類があり、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。不飽和脂肪酸はさらに、多価不飽和脂肪酸(高濃度不飽和脂肪酸)と一価不飽和脂肪酸に分かれています。多価不飽和脂肪酸には、α(アルファ)-リノレン酸からつくられるオメガ3系と、リノール酸からつくられるオメガ6系があります。
α-リノレン酸は野菜の葉や根などに含まれるほか、植物プランクトンにも含まれます。そのため、植物プランクトンを食べている魚介類などは、DHAが多く含まれているというわけなのです。
【EPA(エイコサペンタエン酸)】
EPAは、DHAと同様にオメガ3系の多価不飽和脂肪酸で、魚の脂などに多く含まれています。この2種類は非常によく似ていますが、EPAはDHAのように脳の機能を活性化する働きはほとんどありません。その理由として、EPAは脳にまで到達できない可能性があるということがあげられます。これは一体どういうことなのでしょうか。
脳には必要な成分しか通過できない門があり、DHAはその門を通過することができる数少ない成分です。ですが、研究ではEPAは、脳に対してほとんど影響を及ぼさないことがわかっており、それにより門を通過できず、脳の活性化機能は少ないと考えられているのです。
その代わりEPAには、血液をかたまりにくくする「プロスタグランジンI3」という物質をつくり出す強い作用があります。これにより、血栓ができにくいサラサラの血にする「抗血栓作用」を持っているというのが特徴になっています。
DHA・EPAの効果
・脳細胞を活性化させ、学習機能を高める
人は加齢にともなって、記憶力などの認知能力が低下していきます。もともと脳の神経組織は約50%が脂質から成り立っており、DHAも同じ脂質成分です。ですからDHAには、脳細胞を活性化させ、記憶力・判断力・注意力・空間認識力といった認知能力を維持する効果があるのです。
1989年に、イギリスの脳栄養科学研究所の教授であるマイケル・クロフォードという人物が、「日本人の知能指数が高いのは、日本人が昔から魚を食べているからではないか」と著書で発表し、注目されるようになりました。
また母乳にもDHAは含まれており、粉ミルクで育てた子どもと母乳で育てた子どもでは、母乳で育てた子どものほうが、言語能力などの知能指数が高かったという研究結果もあります。
・認知症の予防
また認知症の予防に効果があることもわかっています。アメリカの研究では、オメガ3系脂肪酸を摂取していた人は、摂取していない人に比べて、認知機能に関する脳の萎縮が少ないという結果が出ています。また、EPAには血液をサラサラにする効果があり、認知症の原因にもなる脳卒中などを防止することができます。
脳を鍛えるためのトレーニングなどもいいですが、興味が持てないことを続けていくのは大変です。その反面、食事のメニューを変えることは比較的簡単で、さらに効果が高いことが証明されていますので、食事にDHAやEPAを含む魚などを取り入れてみましょう。
・抗がん、抗アレルギー作用
がんを発生させる物質に、プロスタグランジンE2(PGE2)というものがあります。この物質はもともと人の体内に存在しており、生理作用に必要なものです。ですが、プロスタグランジンE2が増えすぎると、がん細胞の増殖や転移が活発になってしまいます。
DHAやEPAには、プロスタグランジンE2の増殖を抑え、正常にする働きがあり、結果的に抗がん作用が得られます。また、プロスタグランジンE2には炎症作用もあるため、これを抑えることでアレルギーに対しても効果が期待できます。例えば、アトピー性皮膚炎などのアレルギー体質の人が毎日DHAを摂取すると、湿疹やかゆみなどの症状が緩和されるという報告があります。
また、アレルギー性結膜炎を発症させたマウスに対して、オメガ3脂肪酸を含む亜麻仁油を食餌に加えたところ、症状が改善したという結果が出ています。これらのことから、オメガ3脂肪酸であるDHA・EPAは抗アレルギー作用があると考えられているのです。
さらに中性脂肪値(血中脂質)を下げる効果も
DHAやEPAの作用として期待されているのは、血中脂質を下げる効果です。血中脂質とは、その名の通り血液中に存在する脂質のことで、中性脂肪やコレステロールがこれにあたります。
・中性脂肪とは?
人が食事をして得たエネルギーは、消費しきれなかった場合、肝臓で中性脂肪に合成されます。それらは肝臓や脂肪細胞に蓄えられ、必要に応じて利用されます。脂肪というと悪いイメージを持ってしまう人もいるかもしれませんが、中性脂肪は人の活動に欠かせないエネルギーの元にもなります。
そのため、中性脂肪値が少なすぎるとすぐに疲れてしまったり、休んでも体力が回復しないといった問題があらわれてきます。ですから、中性脂肪自体が悪いというわけではないのです。
・LDLコレステロールとは?
一般的には悪玉コレステロールといわれています。LDLコレステロールには、肝臓でつくられたコレステロールを身体中へ運ぶという役割があります。中性脂肪と同様に、正常な数だと問題はありませんが、増えすぎると血管壁に入り込んでしまいコブのように膨らんで、それが動脈硬化の原因になってしまいます。
EPAやDHAは、なぜ中性脂肪に対して効果があるのかというと、この2つの成分が肝臓で3つの働きをするからです。
- 脂肪酸を分解する
- 脂質の脂肪生成を抑える
- 血管内の中性脂肪を分解する
中性脂肪値やコレステロールが高いとどうなる?
血中脂質には中性脂肪やコレステロール以外にも、遊離脂肪酸やリン脂質といったいくつかの種類がありますが、動脈硬化の元となるのは主に中性脂肪とコレステロールです。血液中にあるこれらの脂肪が多くなると、血栓ができて血管が詰まり、動脈硬化を起こしやすくなります。これにより、脳卒中や心筋梗塞のリスクが上がりますので注意が必要です。
中性脂肪値を下げる方法
一般的に、中性脂肪値やコレステロール値を下げるための方法は、生活習慣の改善や薬物療法などがあります。その中でも、進行具合にかかわらず効果的だとされているのが、食事メニューの見直しや食事制限、適度な運動です。
・食事による方法
戦後、日本では食の欧米化が進み、食物繊維や炭水化物中心の食事から、脂質や動物性たんぱく質中心の食事へと変わっていきました。そして、これが中性脂肪値やコレステロール値を上げる原因のひとつとなっています。そのため、戦前のような和食を中心とした食事に切り替えていくことで、自然と中性脂肪値を下げていくことができるのです。
・運動による方法
運動が脂肪を燃焼させることはよく知られています。その中でも効果的な運動は「ややきつい」と感じる程度の有酸素運動で、ジョギング・ウォーキング・自転車・水泳などです。最低週3日、できれば毎日続けることが必要で、1回だけの運動は効果がなく、数か月程度、長期的に続けることに意味があります。
DHA・EPAが含まれている食品
DHA・EPAが含まれている食材はそこまで多くはありません。これらの成分は人が自分で作り出すことはできませんから、どの食材から摂取できるのかを知っていなければ、ずっと不足したままになってしまいます。ここでは、DHA・EPAが含まれているものの中でも、特によくあげられるものをご紹介します。
【魚】
DHAやEPAは魚から摂れますが、魚によって含まれている量は大きく異なります。基本的にサバ・イワシといった青魚に多く含まれていますが、それよりも多く含まれているのはマグロです。そして種類にかかわらず、身の中でもDHAが多く含まれているのは脂の部分になりますので、意識して脂を食べることで多くのDHAを摂取することができます。
脂の量は時期によっても変わりますので、秋にサンマを食べるなど、旬の時期に多く摂取するのもいいでしょう。おすすめの食べ方は刺身です。その理由は、DHAやEPAは焼く場合と煮る場合でその量が2割ほど減ってしまうからです。揚げた場合だと約5割減ってしまいます。
魚を調理するのが大変だと感じる場合は、魚を加工してつくられている魚肉ソーセージなどの食品でも摂取は可能です。また、手軽に食べられるサバの味噌煮などの缶詰も、ほとんど成分が残った状態ですのでおすすめです。汁にもDHAが溶け出しているため、なるべく食べるようにすると良いでしょう。
【植物油】
特定の植物油にも、DHA・EPAの元となるα‐リノレン酸が含まれているものがあります。例えば、えごま油・アマニ油・しそ油などです。魚の油も熱を加えることでDHA・EPAの摂取量が減ってしまいますが、えごま油なども同じで、光や熱に弱いという特性があります。したがって、摂取する時にはサラダのドレッシングとして使用するなどの工夫が必要になります。
魚に比べると、植物油を摂取することは大変です。油は普通加熱して調理に使うことが多いため、熱を加えずに摂取する方法が少ないのです。また、酸化しやすく取り扱いにも注意を払う必要があるため、毎日摂取し続けるのは大変気を使うことになります。
DHA・EPAのサプリメントでも効果はある?
DHAやEPAはサプリメントからも摂取することができます。魚から直接摂取する場合も、サプリメントから摂取する場合も効果は同じです。ただし、前述のとおり魚によって含有量が異なりますので、効率よく摂取するためには魚の種類を厳選しなくてはいけません。そのため、いつも同じ魚を食べる可能性が出てきてしまいます。
とはいえ、魚にはDHA・EPA以外にもカルシウムやたんぱく質など、多くの良質な栄養素が含まれています。ですから、基本的には魚から直接摂取するようにして、魚をあまり食べられていない場合はサプリメントから摂取するようにしましょう。
血中脂質を改善したい人にとっては、食事のメニューを魚中心にしていくことや、毎日運動を続けることは難しいこともあります。そんな時にサプリメントだと手軽に摂取することができますので、毎日続けることが簡単になります。また、魚が嫌いな人でも簡単にDHAやEPAを摂ることができますので、便利です。
おすすめのサプリメント
また、毎日の献立に取り入れると毎回同じようなメニューになってしまいますし、飽きてくる可能性もあります。サプリメントで摂取すれば、献立を気にする必要が少なくなります。
ドクターズチョイス プレミアムオメガ3
IFOS(国際フィッシュオイル機関)の4つの基準すべてをクリアした、高品質のサプリメント。安全性が高く血中脂質を下げたり、認知能力の向上に最適です。
まとめ
・DHA・EPAは、オメガ3系の多価不飽和脂肪酸からつくられる
・DHAは脳を活性化し、認知能力の向上・認知症予防効果がある
・DHA・EPAは抗がん・抗アレルギー作用もある
・EPAは血をサラサラにする抗血栓作用が強い
・オメガ3系の食材は青魚・えごま油などの植物油がある
・DHA・EPAは過剰摂取せず、適量を摂取する
DHAやEPAを手軽に摂取したいと思っている人や、中性脂肪値やコレステロール値を下げたいと思っている人はサプリメントを利用することも検討してみてください。
この記事の監修ドクター
自然療法医 ヴェロニカ・スコッツ先生
ブラジルのリオグランデドスル・カトリック大学認定の自然療法専門医。アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得しており、専門医として自然由来のサプリメントに関する知識と精密な現代科学のデータを組み合わせて診断や治療を行っています。自身のフィットネスインストラクターとしての16年間の経験を活かし、多くの患者が抱える肉体的な問題だけでなく、精神的な問題も含めて、自然由来のサプリメントを用いた新しい“先見的な予防医学”にも注力しています。