この記事の監修ドクター
ペインター博士
アメリカテキサス州出身。ブリガム・ヤング大学で運動科学の学位を、パーカー大学ではその博士号を取得。
現在はユタ州ファーミントン市でカイロプラクティックを施術する傍ら、
「国境なき医師団」と協力し、ハイチやドミニカ共和国を含む複数の国で医療の提供にも注力している。
過敏性腸症候群とは?
過敏性腸症候群とは、検査を行っても炎症や潰瘍といった器質的(物質的・物理的に身体の器官のどこかが特定できる)疾患が認められないにもかかわらず、下痢や便秘、腹痛、腹部膨満感などの下腹部の不快な症状が起こり、持続するものをいいます。
決して致命的な病気ではありませんが、電車の中のようにトイレのないところに長時間いられないなど、生活の質(QOL)を著しく損なうので、患者さんの不安や苦痛は一般的な慢性疾患の中でも大きいといえるでしょう。
過敏性腸症候群は、20~40代に多くみられます。先進国に多い病気であり、日本においては10~15%程度の方にみられるというデータもあります。男性と女性では、1:1.6でやや女性に多くみられるようです。男性は慢性的な下痢を繰り返す下痢型、女性は慢性的な便秘を呈する便秘型が多いとされます 。
過敏性腸症候群の原因
過敏性腸症候群のはっきりとした原因はわかっていませんが、大腸や小腸など消化管の運動異常や知覚過敏、精神的なストレス等が関係しているとされ、複数の要因が組み合わさることで発症すると考えられています。
また、急性の感染性腸炎にかかったことをきっかけにして、過敏性腸症候群が起こりうるということもわかってきました。感染によって腸に炎症が起き、腸の粘膜が弱くなるだけではなく、腸内細菌の変化も加わり、運動と知覚機能が敏感になるためです。
最近の研究では、何らかのストレスが加わると、ストレスホルモンが脳下垂体から放出され、その刺激で腸の動きがおかしくなり、過敏性腸症候群の症状が出るといわれています。
そのため、過敏性腸症候群は感情表現が苦手な人や、感情を自覚できない「アレキシサイミア(失感情症)」傾向の人がなりやすいことがわかっています。
辛いという気持ちを認識したり、怒りや悲しみを言葉で表現できないので、代わりに身体が「辛い」と表現することで症状が起こります。辛いという気持ちを認識できないと、ストレスに気づくことができないため、ストレスにさらされ続けるうちに身体が悲鳴をあげてしまうのです。
さらに、後述する「腸内細菌」も過敏性腸症候群の誘因として挙げられています。
過敏性腸症候群の症状
過敏性腸症候群の患者さんには、便秘がちになる方から下痢を起こしやすくなる方まで様々なタイプがありますが、便の形状と頻度から「下痢型」、「便秘型」、「混合型」、「分類不能型」の4つの型に分けられます。
【下痢型】
突然に起こる腹痛や下痢が特徴となります。外出時に便意や腹痛をきたすことで、通勤・通学、外出に支障をきたしてしまうことがあります。大腸の蠕動(ぜんどう)運動が過剰になることで、大腸における便の水分吸収が不十分となり、軟便や下痢をきたします。
【便秘型】
便秘を主な症状とするタイプです。腸が緊張状態となることで大腸の蠕動運動が減少し、便秘となります。さらに、便が長時間にわたって大腸に停滞することで過剰な水分吸収が起こり、水分の少ないコロコロとした硬い便となります。
【混合型】
下痢と便秘の症状を、数日ごとに交互に繰り返すタイプになります。
【分類不能型】
上記のどれにも分類できないタイプになります。
過敏性腸症候群の診断
過敏性腸症候群の診断には、自覚症状に基づいて診断する「RomeⅣ基準」という世界的な診断基準を用います。週に1回以上の腹痛が3か月以上続き、かつ下記3つの症状のうち2つ以上に該当することや、その症状が6か月以上前から出現している場合に、過敏性腸症候群であると診断されます。
- 症状(腹痛など)は排便により改善される
- 発症時に排便の回数が変わる
- 発症時に便の形状が変わる

ただし、過敏性腸症候群と似たような症状が現れる病気として、細菌性・ウイルス性の腸炎や潰瘍性大腸炎、クローン病、また大腸がんなどがあり、臨床的な検査(血液検査や便の検査、レントゲン検査、胃カメラ・大腸カメラなど)を行い、他の病気がないかどうかを精査することも重要です。
過敏性腸症候群の治し方
過敏性腸症候群は、食事や睡眠などの生活習慣の乱れや、精神的なストレスなどで症状が悪くなることが多いため、まずは生活習慣の改善やストレスの軽減を図ります。運動療法も症状改善に有効とされます。生活習慣を改善しても症状が良くならない場合は、症状に合わせて薬物治療を行っていきます。
【食事療法】
炭水化物や脂肪分の多い食物が症状を悪化させるきっかけとなることがあるため、控えるようにします。また、香辛料やアルコール、コーヒーが症状悪化に関与していることもあり、その場合には控えるよう心がけます。
下痢に対しては、適量の食物繊維をとりながらも、下痢を引き起こすような冷たい飲み物や牛乳の過剰な摂取は避けるようにします。便秘に対しては、食物繊維を積極的にとり、便の量や硬さを整えるように心がけます。
過敏性腸症候群の食事療法は、バランスのとれた食事をゆっくりと規則正しくとることがポイントとなります。
【運動療法】
適度な運動を行うことで、腸の動きを整えます。また、運動することはストレス解消にもなります。過敏性腸症候群の発症や悪化の原因となるストレスを軽減させることができます。
【薬物療法】
生活習慣を改善しても症状がよくならない場合には、薬物治療を行います。使用される薬剤にはいくつか種類があり、症状や体質、生活リズムに合わせて選択し、治療するなかで最も適切な薬を見つけていきます。
過敏性腸症候群の薬
薬物療法で最初に用いる薬としては、消化管運動調整薬と呼ばれる腸の運動を整える薬や、乳酸菌製剤、あるいは高分子重合体といわれる水分を吸収し便の水分バランスを調整する薬があります。これらの薬は下痢症状が中心の方、便秘症状が中心の方のどちらにも用いられます。
下痢型の方には腸の運動異常を改善させるセロトニン3受容体拮抗薬、また便秘型の方には便を柔らかくする粘膜上皮機能変容薬も用いられます。
また下痢に対しては止痢薬、お腹の痛みには抗コリン薬、便秘に対しては緩下剤も補助的、頓服*(とんぷく)的に使用されます。
*頓服 …症状が出たときに服用すること
下痢 | 便秘 | 腹痛 |
---|---|---|
消化管運動調整薬・乳酸菌製剤・高分子重合体 | ||
セロトニン3受容体拮抗薬 | 粘膜上皮機能変容薬 | |
止痢薬 | 緩下剤 | 抗コリン薬 |
消化管運動調整薬
下痢型にも便秘型にも使用します。下痢に対しては腸の動きを抑制し、便秘に対しては腸の動きを活発にすることで効果を発揮します。
乳酸菌製剤
腸内環境を整え、下痢や便秘、また腹部の不快な症状を改善します。
高分子重合体
便に含まれる水分量を調整し、便の形や硬さを整えます。下痢型にも、便秘型にも使用されます
セロトニン3受容体拮抗薬
腸に存在するという神経伝達物質であるセロトニンをコントロールすることで、過敏性腸症候群の症状を改善します。主に下痢型過敏性腸症候群の治療に使用されます。以前は男性にのみ使用されていましたが、近年では女性に対しても使用されています。ただし、女性のほうが副作用としての便秘を起こしやすいといわれています。
粘膜上皮機能変容薬
小腸や腸粘膜上皮に作用し腸内の水分分泌を増加させ、腸管内の便輸送を高めて排便を促進します。
止痢薬
下痢型に対して、下痢がひどいときなどに頓服的に用いることがあります。
緩下剤
便秘型に対して、便の水分を増やして柔らかくしたり、腸を刺激したりして便を出しやすくします。
抗コリン薬
副交感神経を亢進させるアセチルコリンの作用を抑えることで、消化管の運動亢進に伴う痛みや痙攣、下痢などを抑えます。
漢方薬
漢方薬は古くから使われている生薬を組み合わせたもので、経験的に有効であることがわかっています。下痢型や便秘型といった病型や、体質(体力や冷えの有無など)に合わせて処方が選択されます。
上記以外に脳に作用する薬
抗うつ薬・抗不安薬
腸に対する薬の効果が乏しいときや、うつ症状や不安が強い(トイレに行けない不安など)場合に、少量から使用することがあります。ただし、抗不安薬は依存性の問題もあり長期間の使用は慎重に行われます。
過敏性腸症候群の薬を服用するデメリット
過敏性腸症候群の薬は主に対症療法として使用されます。症状は緩和されますが根本的な原因を取り除く原因療法ではないため、再発の可能性が少なからずあります。
また、程度の差はありますが、それぞれの薬において、各種副作用の可能性があることも留意する必要があります。
さらに、妊婦、幼児・小児、高齢者などに対しては禁止されているものや服用には注意が必要なものもあるため、症状によっては薬物療法ができない場合もあります。
これらの理由から、食事療法や運動療法で改善、もしくは完治させることが理想ですが、一般的には補助的な効果に留まり、薬の方が効果を得られやすいといえるでしょう。
薬と同じような効果を得られ、副作用のないものとして挙げられるのがサプリメントになります。基本的にサプリメントは食品であるため副作用の心配もなく、妊婦、幼児・小児、高齢者なども摂取可能です。また、過敏性腸症候群に有効なサプリメントは腸内環境に働きかけ、過敏性腸症候群になりにくい体質へと導く原因療法となるため、再発の可能性が低くなります。
腸内環境が改善すれば過敏性腸症候群も改善する
最近の研究から、過敏性腸症候群の誘因として「腸内細菌」も関わっていることがわかってきました。
過敏性腸症候群の人は、そうでない人と比べて腸を拡張する刺激に対して敏感に反応します。その原因の一つとして、腸内細菌のバランスが崩れることによる悪玉菌の増加があげられます。実際に、過敏性腸症候群の患者における腸内フローラの研究では、一般的に腸内細菌科※が増加し、乳酸菌およびビフィズス菌が減少するといわれています。
腸と脳は密接に関わっており、互いに情報を伝え合って機能しています。脳の中枢神経は、腸の運動や分泌、免疫機能、血液の流れなどを調節し、また、腸からも脳に情報が伝達されています。人はストレスを感じると脳から腸にその情報が伝えられます。すると腸の運動を亢進させるだけでなく、腸内細菌のバランスにも影響を与えるのです。
言い換えれば、腸内細菌のバランスを整え、腸内環境が改善されれば過敏性腸症候群も改善することができるのです。
※腸内細菌科 … 真正細菌の分類上の一グループで、大腸菌や赤痢菌、サルモネラなど、人や動物の腸内に生息したり、腸管感染症の原因になるものが多い。腸内細菌とは別物。
腸内環境を改善するには
一般的に過敏性腸症候群の人の腸内は、悪玉菌が増殖し、善玉菌が減少している状態です。そのため、腸内環境を改善するには善玉菌を増やしてあげることが重要です。善玉菌が増え、快適に働けるようになると悪玉菌は住みづらくなり、腸の状態は良くなります。
善玉菌を増やす方法として最初にあげられるのは「乳酸菌」を摂取することです。乳酸菌は善玉菌の一種で、糖類を分解して乳酸を作り出します。この乳酸菌を摂取することは、腸内の善玉菌に援軍を送ることになります。さらに、この乳酸菌を元気にする方法に「オリゴ糖と食物繊維」の摂取があります。オリゴ糖と食物繊維は、腸内を乳酸菌が働きやすい環境に整えてくれます。
また、腸内環境を改善するには適度な運動、十分な睡眠、朝食をとる、といった生活習慣も重要です。
- 適度な運動 ⇒ 体の振動や筋肉の動きが腸内の便の動きをサポートする
- 十分な睡眠 ⇒ 起床時に便をS状結腸まで送る
- 朝食をとる ⇒ 理想的な排便時間の訪れ
乳酸菌を摂取するとともに規則正しい生活を送ることで腸内環境を改善することができます。
サプリメントで腸内環境を改善
腸内環境を改善するには乳酸菌を摂取し、善玉菌を増やすことが重要です。そのため、ヨーグルトや乳酸菌飲料を摂れば良いと思われがちです。しかし、実は口から摂取して腸にたどり着ける菌の数は限られています。また、乳製品は乳糖不耐性により下痢を引き起こす可能性があるため、過敏性腸症候群の改善のためには避けた方が無難といえます。
さらに、サプリメントの方が乳製品よりも
- 乳酸菌が生きたまま腸に届きやすい
- 大量の乳酸菌を一度に摂取できる
- コストが低い
といった利点があります。
効果とコストパフォーマンスを考えて乳酸菌を摂取するのであれば、サプリメントが合理的です。
腸内環境を改善する善玉菌(乳酸菌)サプリメントの選び方
市場には様々な善玉菌サプリメントが出回っていますが、多くのものが1種類の乳酸菌や1種類のビフィズス菌しか配合されていません。
しかし健康な腸内には5~10種類のビフィズス菌、300種類以上の乳酸菌が存在します。そのため多種類の善玉菌が配合されたサプリメントがより効果的です。
また、人間の腸内細菌の数は600~1000兆個とも言われています。これだけ膨大な菌の集合体に働きかけるにはかなり多くの菌数を摂取しなければなりません。少ない菌数でも効果を発揮するものもありますが、多くの善玉菌の研究結果では免疫力強化や免疫バランスの改善にはより多くの菌数が必要であると証明されているため、菌数の多いサプリメントを選ぶことも重要です。
さらに善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖が含まれているサプリメントであれば、相乗効果による、より高い効果が期待できます。
アメリカにおいては、乳酸菌やビフィズス菌が配合された善玉菌サプリメントはランクが分かれており、その最高レベルは医療現場で使用されています。
その医療レベルの善玉菌サプリメントの条件とは、
- 悪玉菌の増殖を抑える善玉菌を9種類以上含有
- 1日で500億個の善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌)が摂取可能
- 善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を含有
の3つになります。
過敏性腸症候群において、日本では抗生物質が処方されることがありますが、抗生物質は腸内で良い働きをする菌まで殺してしまうため、アメリカでは多くの医者が医療レベルの善玉菌サプリメントを処方します。
医療レベルの善玉菌サプリメント
医療レベルの条件をクリアした善玉菌サプリメントに「ドクターズチョイス フローラケアプラス」があります。
ドクターズチョイス フローラケアプラスには8種類の乳酸菌と4種類のビフィズス菌が
計500億個も配合されています。さらに、乳酸菌やビフィズス菌のエサとなる食物繊維とオリゴ糖が配合されています。
- 善玉菌を9種類以上(12種類)含有
- 500億個の善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌)が摂取可能
- 食物繊維とオリゴ糖を含有
まとめ
過敏性腸症候群のはっきりとした原因は分かっていませんが、消化器官の運動異常や知覚過敏、ストレスなど複数の要因が組み合わさることで発症すると考えられています。
治療では食事療法や運動療法での生活習慣の改善が行われ、それでも効果がなければ薬物療法が行われます。
しかし、薬物療法には再発の可能性や副作用、妊婦、幼児・小児、高齢者などが服用できない薬もあるといったデメリットも存在します。
最近の研究では腸内環境を左右する腸内細菌も過敏性腸症候群の誘因であることが分かってきました。そのため、腸内環境を改善することで過敏性腸症候群も改善もしくは解消できると言われています。腸内環境を改善するには善玉菌を増やしてあげることが最も重要です。その善玉菌を増やす最も効果的な方法として乳酸菌やビフィズス菌の摂取があげられます。
ヨーグルトや乳酸菌飲料からも乳酸菌やビフィズス菌は摂取できますが、乳製品は乳糖不耐性により下痢を引き起こす可能性があるため、過敏性腸症候群の改善には避けた方が無難です。乳酸菌が生きたまま腸に届きやすく、大量の乳酸菌を一度に摂取できるという点でサプリメントでの摂取がより合理的と言えます。また、サプリメントは薬物療法のようなデメリットもないため、安心して摂取できることも魅力です。
市場には多くの善玉菌サプリメントが出回っていますが、善玉菌を9種類以上配合し、1日500億個の善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌)が摂取可能で、食物繊維とオリゴ糖も配合されている「医療レベルの善玉菌サプリメント」の摂取が過敏性腸症候群のより高い改善効果を期待できます。
「ドクターズチョイス フローラケアプラス」はそんな医療レベルの善玉菌サプリメントの3つの条件をクリアした数少ない善玉菌サプリメントです。腸内環境を改善する適度な運動、十分な睡眠、朝食をとる、といった生活習慣とともにフローラケアプラスを取り入れ、過敏性腸症候群の改善をぜひ実感してください。