【医師監修】糖尿病性包皮炎の治し方|間違いのないお勧めの塗り薬と治療法
治療には原因菌の特定が重要で、細菌性とカンジタ性では異なるアプローチが必要です。軽度の場合は市販薬での治療も可能ですが、糖尿病がある場合は血糖値のコントロールが最優先になります。
また、予防には清潔保持が重要ですが、洗いすぎは逆効果となる場合などの注意点があります。症状が改善しない場合は早めに医師の診察を受けることをお勧めします。
この記事の監修ドクター
自然療法医 ヴェロニカ・スコッツ先生
ブラジルのリオグランデドスル・カトリック大学認定の自然療法専門医。アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得しており、専門医として自然由来のサプリメントに関する知識と精密な現代科学のデータを組み合わせて診断や治療を行っています。自身のフィットネスインストラクターとしての16年間の経験を活かし、多くの患者が抱える肉体的な問題だけでなく、精神的な問題も含めて、自然由来のサプリメントを用いた新しい“先見的な予防医学”にも注力しています。
糖尿病とも関係のある亀頭包皮炎とは?
亀頭包皮炎とは、男性にだけ発症する特有の病気で、陰茎(いんけい)やそれを覆う包皮に対して起こる炎症のことをいいます。
亀頭のみに炎症が起きている場合は亀頭炎で、包皮のみに炎症が起きている場合は包皮炎と呼ばれます。そして、亀頭炎と包皮炎の両方に炎症が見られる場合は、亀頭包皮炎となります。
亀頭包皮炎は、衛生面の問題から子どもが発症することがよくありますが、性交渉や自慰行為を行う青年〜中年の男性に特に多く発症する傾向にあります。
炎症が起こる原因はさまざまですが、非衛生的な状態が続くことにより起こる炎症、細菌による感染症、カンジタ菌による感染症、性交渉による感染などがあります。
亀頭包皮炎になると炎症が起きるほか、痛みやかゆみも伴い膿が出ることもあります。包茎の人は亀頭が包皮で被われているために、亀頭と包皮の間に恥垢(ちこう)という垢がたまりやすくなっています。
そのため、衛生状態が悪くなり包茎でない人よりも包皮炎・亀頭包皮炎になりやすくなっています。
糖尿病で起こる合併症には多くの種類がありますが、あまり知られてはいないものの亀頭包皮炎になる人は多く、隠れた合併症とも呼ばれます。こう呼ばれる理由は、実際に発症している人は多いのに、デリケートな部分のことなので病院に行かない人が多く、明るみに出ていないからだと考えられます。
ですが、病院に行かずに放置しておくと、亀頭包皮炎が悪化してしまい、嵌頓(かんとん)包茎や陰茎がんになる可能性もあるため気をつけなければいけません。
亀頭包皮炎の種類と原因
亀頭包皮炎の中でも代表的なものは「細菌性亀頭包皮炎」と「カンジタ性亀頭包皮炎」です。これらの病気は一見どちらも同じような症状に見えますが、細菌感染か真菌感染かという違いがあります。
症状はどちらもほとんど共通しており、痛みやかゆみを伴い、硬くなった包皮をむいてしまうと、包皮が縦に裂けることが特徴です。また、亀頭部分については、勃起してしまうことで皮膚が裂けてしまうこともあり、性交渉に問題が出るなど患者にとってはつらい症状になります。
【細菌性亀頭包皮炎】
亀頭包皮炎の中でも大腸菌や黄色ブドウ球菌、化膿性溶連菌などの細菌に感染して発症するものを細菌性亀頭包皮炎といいます。これらの大腸菌や黄色ブドウ球菌は、もともと人の皮膚に存在する常在菌ですが、通常はそう簡単に感染しません。
陰部をよく洗わず不潔なとき、反対に洗いすぎたとき、傷があるとき、免疫力が低下しているときなどに細菌が異常繁殖し、亀頭包皮炎を発症する可能性があります。合併症としてカンジタ菌に感染してしまい、カンジタ性亀頭包皮炎を同時に発症してしまう場合もあります。
【カンジタ性亀頭包皮炎】
カンジタとはカンジタ菌という真菌(カビ)の一種です。一般的には女性の病気というイメージがあるかもしれませんが、カンジタ菌は誰でももともと持っているため、男性でも発症することがあります。カンジタ性亀頭包皮炎になる原因はさまざまですが、性交渉時などに相手から感染するほか、もともと自分が持っているカンジタ菌が増えすぎることにより、感染することもあります。
カンジタ菌が増える原因は、何らかの原因で免疫力が低下したことや、抗生物質を使用したことによるものです。
カンジタ菌の増殖を防いでいる菌が少なくなるためです。
カンジタ菌はもともと人の体内に存在していますが、抗生物質を使用すると人の身体にとって良い菌まで減らしてしまうため、カンジタ菌が増殖しやすくなるのです。
また、抗生物質やステロイドは副作用が懸念され、人の身体に必要な菌まで減らしてしまい、免疫力が下がってしまうこともあるなど問題があります。
そのため、抗生物質の使用時には注意する必要があります。
また、入浴時に陰部を洗いすぎることでもカンジタ菌増殖の原因になりますので気をつけましょう。
ほかの原因として考えられるのは、脂漏性皮膚炎、コンドームの使用によるアレルギーなどです。
細菌性の場合もカンジタ性の場合も症状がほぼ同じであるため、発症した亀頭包皮炎が細菌性のものなのか、カンジタ性のものなのかは、医師でも見分けるのが難しいとされています。
糖尿病性亀頭包皮炎の原因
通常の亀頭性包皮炎の原因は以上のようなものですが、糖尿病性亀頭包皮炎の場合は、糖尿病の特徴である高血糖状態が原因で起こることが多くなっています。
高血糖状態が続くと抹消血管の血流が悪くなり、組織の柔軟性が低下していきます。その状態で皮膚などを引き伸ばしたとき、ひび割れや裂け目が生じます。
この状態が亀頭や包皮にあらわれたのが糖尿病性亀頭包皮炎です。
糖尿病性の場合は、高血糖による血行不良が問題となってさまざまな合併症が起こります。
そのため、塗り薬で症状を緩和することはできますが、普通はまず糖尿病の治療(血糖値のコントロール)をしていくことが最優先となります。
高血糖状態を治さないとそのほかの合併症も治りにくいからです。そして、それに並行して亀頭包皮炎の治療を行うことになるでしょう。
症状の原因別・重症度別 治療アプローチガイド
原因菌による治療法の違い
重要:原因となる菌によって適切な治療薬が異なります。誤った治療薬の使用は症状を悪化させる可能性があります。
- カンジダ菌(真菌)による場合:
- 抗真菌薬が有効
- ミコナゾール、クロトリマゾールなどの塗り薬を使用
- 細菌(ブドウ球菌・連鎖球菌など)による場合:
- 抗生物質入りの軟膏が必要
- 抗真菌薬は効果がないため注意
- 原因特定のため以下の症状を確認:
- カンジダの場合:白色のただれ、かゆみが強い
- 細菌の場合:発赤、熱感、膿様の分泌物
軽症の場合の対応
推奨される治療法:
- 医師による原因菌の特定と適切な薬剤の処方
- 自己判断での薬剤選択はできるだけ避ける
- 処方された薬剤を指示通りに使用
- 清潔保持の基本ケア:
- 1日1回のぬるま湯による優しい洗浄
- 清潔なタオルでやさしく水分を拭き取る
- 通気性の良い綿素材の下着着用
中等症の場合の対応
- 必要な治療アプローチ:
- 医師による原因菌の培養検査
- 適切な抗菌薬または抗真菌薬の処方
- 血糖値コントロールの強化
- 定期的な経過観察
- 以下の症状がある場合は要受診:
- 2週間の治療で改善が見られない
- 症状の悪化
- 痛みや出血の出現
- 発熱の併発
重症の場合の対応
即座に受診が必要な症状:
- 重度の炎症症状:
- 強い疼痛・腫脹
- 広範囲の発赤・熱感
- 感染の悪化を示す症状:
- 膿様の分泌物
- 38度以上の発熱
- リンパ節の腫れ
- 合併症のリスク:
- 蜂窩織炎への進展
- 敗血症の危険性
- 尿道炎の併発
重要な注意事項
- 原因菌の特定なしでの薬剤選択は危険です
- 症状が重症化する前に必ず医師の診察を受けてください
- 糖尿病がある場合、症状が急速に悪化する可能性が高いため、早期受診が重要です
- 処方された薬剤は指示された期間、確実に使用してください
亀頭包皮炎の検査と治療
通常、亀頭包皮炎の疑いがある場合には泌尿器科を受診します。
多くの場合、検査は医師による患部の目視にて診断されます。
必要だと判断された場合は、患部の表面の組織を綿棒で採取することによる検査、尿検査などが行われます。
治療は原因となっている菌によって変わりますが、共通している対処法は入浴時などに患部をお湯と石鹸できれいに洗い、清潔な状態を保つことです。
ただし、患部の衛生を気にして必要以上に洗ってしまうと、悪化させる原因にもなりますので注意しましょう。
細菌性の亀頭包皮炎は抗生物質を服用したり、抗生物質入りの軟膏を塗布したりしていると改善してきます。
反対にカンジタ性の場合は抗生物質は効果がありませんので、抗真菌薬の塗り薬がよく使われます。
亀頭包皮炎の治療費については、保険の適用対象になっています。また、仮性包茎や真性包茎の人は、場合によっては包茎の手術をすることで改善します。
包茎の手術も保険が適用されますが、対応している病院が限られているため事前に確認をとったほうが良いでしょう。
症状の程度による治療法の選択
軽度の症状(市販薬での治療を検討可能):
- 軽い発赤やかゆみ程度
- 痛みがないまたは軽度
- 患部の範囲が限定的
- 全身症状がない
中程度以上(医師の診察が必要):
- 強い痛みや腫れ
- 広範囲の発赤や熱感
- 膿様の分泌物がある
- 症状が1週間以上改善しない
- 発熱などの全身症状がある
糖尿病がある方への注意点
糖尿病がある場合でも、症状が軽度であれば市販薬での治療を検討できますが、以下の点に特に注意が必要です:
- 症状の変化により敏感に注意を払う
- 悪化の兆候が見られたら、すぐに医師に相談する
- 血糖値のコントロールを適切に維持する
- 清潔保持に特に気を配る
- 市販薬を使用する場合は、薬剤師に糖尿病があることを必ず伝える
以下の場合は必ず医師の診察を受けてください:
- 1週間程度で症状の改善が見られない
- 症状が徐々に悪化している
- 血糖値のコントロールに影響が出ている
包皮炎の症状に応じた治療選択の目安
※このフローチャートは目安です。症状や状態に不安がある場合は、医師に相談することをお勧めします。
※フローチャートは横にスクロールできます →
糖尿病性亀頭包皮炎は塗り薬で治る?
糖尿病が原因となって起こる亀頭炎は、しばしば「糖尿病性亀頭包皮炎」と呼ばれます。
糖尿病性の場合は少し状況が変わってきます。
病気自体は同じですので症状は同じですが、糖尿病だと症状の進行が早かったり、治りが遅かったりといったことが起こります。
デリケートな部分の病気ですので、病院に行かず市販の塗り薬で治したいという人もいるでしょう。軽度のものであれば、市販の薬でも治ることはあります。
ただし、進行しすぎていると改善しない場合もありますので、その際は病院で治療を受けましょう。
性交渉ができなくなる可能性もありますので、できれば病院に行くほうが無難です。
また、糖尿病が原因で発症している場合は、病院で治療をしていても必ずしもすぐに治るとはいえません。
糖尿病が進行していると感染症になりやすくなり、さらに病気が治りづらいため完治まで時間がかかります。
カンジタ性亀頭包皮炎については、ラミシールやロテュリミンなどの、いわゆる抗真菌薬の使用が有効的です。
ですが、細菌性の亀頭炎には効果がありません。また、前述のとおりカンジタ性のものなのか細菌性のものなのかの区別が難しいため、間違った薬を使うと効果がなかったり、逆に悪化の原因にもなりますので注意しなくてはなりません。
亀頭包皮炎の予防方法
細菌性の場合は、陰部を清潔に保つことがもっとも重要です。
包茎の人は特に、亀頭と包皮の間に恥垢がたまらないようにすることで予防になります。
ただし洗いすぎてしまうと良い菌まで洗い流してしまい、逆効果になります。カンジタ性の場合も洗いすぎは厳禁です。
また、性交渉による感染を防ぐためには、避妊具を必ず使用することが大切です。もし、性交渉によってカンジタになってしまった場合は、パートナーと同時に治療をする必要があります。
自分が治っても、パートナーが治っていない状態で性交渉をしてしまうと再度感染してしまうおそれがあるからです。
いずれの原因も普段から体調管理をしっかりして、免疫力を高く保てるようにしておくことで予防になります。栄養が偏らないように気をつけ、運動を適度に行い健康状態を良くしておきましょう。
ドクターズチョイス ファンガソープ
亀頭包皮炎の治療は、患部を清潔に保っておくことがもっとも有効的な治療法です。そして、原因となっている菌を除去することも大切ですが、市販の石鹸では菌を除去することはできません。抗生物質は細菌性の亀頭包皮炎に対しては効果的ですが、免疫力を低下させるなどの副作用もあり、できれば避けたいところです。
また、カンジタ性の亀頭包皮炎には逆効果となってしまいますので、どちらが原因かわからない場合は使用できません。「ドクターズチョイス ファンガソープ」は、市販の石鹸にはできない細菌やカンジタ菌(真菌)を強力に除去しますので、亀頭包皮炎に効果的です。
ドクターズチョイス ファンガクリア
カンジタ性の亀頭包皮炎は真菌というカビが原因となって発症します。治療せずに放置していると、ほかの部位や性交渉のときにパートナーに感染させてしまうおそれもあります。
真菌を早く除去して早く症状を改善させるためには、クリームなどの外用薬のほかにも内側から治すサプリメントも効果的です。
「ドクターズチョイス ファンガクリア」は、真菌に効果的な成分や免疫力を高めるためのワームウッドなどの成分を配合しており、真菌に対しての抵抗力をアップさせます。
ドクターズチョイス グルコサポート
糖尿病が原因で亀頭包皮炎になってしまった場合、まずは高血糖状態を改善することが先決です。「ドクターズチョイス グルコサポート」は、糖尿病のおもな症状である血糖値や、コレステロール値を改善することができます。
まとめ
亀頭包皮炎はデリケートな部分の病気ですので、万が一発症してしまっても病院に行きたくないと考える人も多いと思います。
ですが、前述のとおり性交渉に問題が出てきたり、陰茎がんなどの深刻な病気に発展したりする可能性もあるため、可能であれば病院に行くほうがいいでしょう。
放置する時間が長いほど症状は悪化していきます。
もし自宅で治療する場合は、適切な治療をする必要がありますので、正しい知識を持ち、さらに効果的な薬を使用することが大切です。
糖尿病が原因になっている場合は、まずは血糖値を下げるための治療を優先させることで、亀頭包皮炎以外の病気を防ぐこともできます。