加齢黄斑変性を早期発見で食い止める!

目の病気と言えば白内障や緑内障を思いつきますが、もう一つ注意したい目の病気があります。
それが加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)です。
「視界が波打つ」「視界がぼやける」「視界の中心部が暗い」などの症状を示し、日本人では50歳以上の100人に1人はかかると言われている目の病気です。
しかも、この病気で一度損傷した細胞は元に戻りません。
また、最悪失明に至る場合があり、日本においては中途失明の原因の第4位(2018年時点)です。
この記事では加齢黄斑変性の原因と予防方法、なってしまった後の対処法について詳しく見ていきます。
出典:https://link.springer.com/article/10.1007/s10384-018-0623-4
加齢黄斑変性とは
加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)とは、眼球の黄斑という組織が加齢により変性してしまう病気です。
黄斑は物を見る上でとても重要な役割を担っているため、加齢黄斑変性を発症するとゆがみや視力の低下など様々な視覚障害が引き起こされます。
加齢黄斑変性をチェックしてみよう!
加齢黄斑変性があるか、アムスラーグリッドと呼ばれる図を使えば、自分でも簡単にチェックすることができます。
※この図はパソコンやタブレットの画面で見ていただくことでより正確なチェックができます。
- 以下の図を目と画面の距離を30cm(格子の幅が5mm間隔に見える距離)にする。
- 片目で中央の黒い点を見る。※眼鏡やコンタクトレンズはつけたままにする。
加齢黄斑変性の症状
加齢黄斑変性があると、上の図(アムスラーグリッド)が以下のような見え方になります。
このように見えても「老眼かな?」と見過ごさずに、早めの対処をする必要があります。
なぜなら、加齢黄斑変性は年を重ねるごとに発症リスクが高まることがわかっているからです。
日本の加齢黄斑変性の研究として有名な久山町研究では、初期加齢黄斑変性の5年間での発症率は8.5%と、約12人に1人は発症するという高い割合を示しました。
久山町研究とは?
福岡県糟屋郡久山趙の50歳以上の住人1482人を1998年から2003年までの5年間追跡調査し、加齢黄斑変性の発症率や危険因子を検討した初めての研究です。
加齢黄斑変性のリスクが高い人
60代後半の方
加齢黄斑変性は40~50代の方でも発症することがありますが、
日本人では60代後半で増加することが分かっています。
男性
前述の久山町研究では男性の発症率が女性の3倍という結果が出ており、
女性よりも男性のほうが加齢黄斑変性の発症リスクが高いと言われています。
喫煙している方
前述の久山町研究を含め、
喫煙していると発症率が2~4倍になると言われています。
血縁に加齢黄斑変性の方がいる方
加齢黄斑変性の詳しい原因は明確にはわかっていませんが、
遺伝による影響が一説に挙げられています。
加齢黄斑変性の種類
加齢黄斑変性には萎縮型と滲出型の2種類あります。
萎縮型(いしゅくがた)
原因…組織が徐々に弱って萎縮することで、黄斑に障害が生じる。
進行…進行は遅いが、滲出型に移行することで、
急激に視界が悪くなる場合があるので注意が必要。
治療法…なし(2022年6月時点)
滲出型(しんしゅつがた)
原因…網膜の下の血管が分岐して新しく発生した血管(新生血管)から
水分や血液がにじみでることで黄斑に障害が生じる。
進行…急激に進行するため、急に視力が悪くなる。
治療法…あり
滲出型加齢黄斑変性の治療
萎縮型加齢黄斑変性の治療法はまだ確立されていませんが、滲出型加齢黄斑変性には治療法があります。
そして、
新生血管が発生している場所によっても治療法は異なってきます。
レーザー光
新生血管をレーザーで焼きつぶすことで、病気の進行を止めます。
ポイント!
- レーザーをあてて焼きつぶしたところは光を全く感知できなくなり、絶対暗点となりますので、見ようとする物のすぐ隣に常に見えない部分ができてしまいます。
- 黄斑の中心にある中心窩(ちゅうしんか)と呼ばれる場所に新生血管があると、術後に致命的に視力が低下してしまうため、この場合には以下の2つの治療法を用います。
眼球に注射
点眼麻酔後、新生血管が発生するのを抑える
抗血管内皮増殖因子薬(抗VEGF薬)を眼球に直接注射します。
後述の光線力学療法と組み合わせて治療が行われることがあります。
ポイント!
継続的な治療が必要…1~2か月ごとに数回の注射する必要がある。
光線力学療法
光に強く反応する物質を腕から点滴し、その後病巣にレーザーを照射、点滴した物質が目の中で化学反応を起こすことで新生血管を取り除くことができます。
ポイント!
比較的周囲への組織を傷つけずに施術を行うことができます。
未来の治療法 iPS細胞による加齢黄斑変性治療
一時期話題になったiPS細胞を加齢黄斑変性の治療に応用するべく、研究が進んでいます。
iPS細胞を用いた加齢黄斑変性の治療の研究例
① 2014年9月に、加齢黄斑変性を患う70代の患者さん自身の細胞から作り出した(自家)iPS細胞をもとに、
新たに網膜色素上皮シートを作成し移植しました。
術後は良好で、拒絶反応もなく、視力も維持できているとのことです。
② 2017年3月に、滲出型加齢黄斑変性の患者へ他人の細胞から作り出した(他家)iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞懸濁液移植が実施されていますが、2018年1月に網膜浮腫の副作用がみられています。
これまで加齢黄斑変性の治療は新生血管などの病変を取り除く「対処療法」が主とされてきました。
しかし、iPS細胞の応用が加齢黄斑変性の治療法として確立されれば、根本的な原因を取り除く「根治療法」となることからiPS細胞の加齢黄斑変性の治療への応用に期待が高まっています。
生活の中でできる4つの対策
眼科での定期健診を受ける
上述の加齢黄斑変性チェックで簡単な確認はできますが、医師による正確な健診を受けることで早期発見を心がける必要があります。
45~60歳であれば2年に1度、60歳以上であれば毎年、眼科で定期検査を受けることをおすすめします。
目に日光が入らないようにする
強い光(ブルーライトや紫外線)が網膜に当たると網膜に異常が起こるリスクが高まります。
日常的につばのあるキャップや帽子を被ったり、紫外線をカットするタイプのサングラスを使うようにしましょう。
禁煙
喫煙者(過去に吸っていた人も含む)の加齢黄斑変性の発症リスクは非喫煙者に比べて2~4倍高いという報告があります。
今喫煙されている方でも喫煙をやめることで発症リスクを下げられるといわれていますので、これを機に禁煙を目標にしてみましょう。
目によい食材を積極的に食べる
加齢黄斑変性を防ぐためにはどのような食事にするとよいのでしょうか?
「緑黄色野菜」「青魚などの魚介類」「亜鉛が豊富な食品」を積極的に食べましょう。
緑黄色野菜
ほうれん草、にんじん、かぼちゃ、トマトなど緑黄色野菜にはカロテノイド(ルテインやゼアキサンチン)やビタミンCといった抗酸化物質が豊富に含まれています。
緑黄色野菜を多く食べる人は、あまり食べない人に比べて、加齢黄斑変性のリスクが43%低いことがわかっています。
青魚などの魚介類
まぐろ、さんま、さけ、さば、いわし、にしんなど青魚などの魚介類にはDHA・EPAに代表されるオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。
オメガ3脂肪酸は黄斑変性、緑内障、ドライアイなどの目の病気の発症リスクを下げることが分かっています。
亜鉛が豊富な食品
牡蠣(カキ)、牛モモ肉、鶏モモ肉、卵、大豆製品、ほうれん草、ナッツ類など亜鉛は後述するAREDSとAREDS2という研究で加齢黄斑変性の進行を抑えることが報告されています。
アメリカの大規模な研究で分かっていること
アメリカで行われた加齢黄斑変性に関する2つの大規模な研究があります。
それがAREDS(加齢黄斑変性研究)とAREDS2です。
これらの研究では3,500人以上もの50-80歳の加齢黄斑変性の患者を被験者とし、どんな成分の組み合わせが加齢黄斑変性の進行リスクを下げるかが研究されました。
AREDSで分かったこと
ビタミンC、ビタミンE、ベータカロテン、亜鉛を摂取することで中程度から深刻な加齢黄斑変性の進行リスクを25%減らし、失明リスクを19%減らすことができました。
さらに、研究から5年後、これらの成分を自ら摂り続けた被験者を調査すると、深刻な加齢黄斑変性の発症リスクが25~30%低くなりました。
AREDS2で分かったこと
ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、ルテイン、ゼアキサンチンを摂取することでAREDSの処方よりも目をより良い状態に維持することが分かりました。
効率的な対策をするには
AREDSとAREDS2などの研究結果から、アメリカ国立眼病研究所(NEI)は、サプリメントなどを利用して目によい成分を補給することを推奨しています。
https://www.nei.nih.gov/
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まとめ
- 加齢黄斑変性は急に進行して、失明するリスクがあります。
- 加齢黄斑変性は治らない場合もある目の病気です。
- しかし予防と早期発見、対策で進行を抑えることができます。
- サプリメントの摂取で進行リスクを2割抑えられると研究で分かっています。
- 目によい成分を23種類も配合したドクターズチョイス「アイクリアEX」という商品が加齢黄斑変性対策におすすめです。