この記事の監修ドクター
自然療法医 ヴェロニカ・スコッツ先生
ブラジルのリオグランデドスル・カトリック大学認定の自然療法専門医。アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得しており、専門医として自然由来のサプリメントに関する知識と精密な現代科学のデータを組み合わせて診断や治療を行っています。自身のフィットネスインストラクターとしての16年間の経験を活かし、多くの患者が抱える肉体的な問題だけでなく、精神的な問題も含めて、自然由来のサプリメントを用いた新しい“先見的な予防医学”にも注力しています。
男性不妊の原因とは?
今まで不妊の原因は女性側にあると思われてきましたが、近年男性側が原因で妊娠できない「男性不妊」が問題となっています。日本ではおよそ5人に1人の割合で、精子の量や運動率の低下により、男性不妊になるリスクがあると考えられています。男性不妊は特別珍しいことではなく、不妊原因の約半数を占めているとされているのです。
では、男性不妊が起こってしまう原因はなんなのでしょうか?その原因は、大きく分けて2つあり、以下のようなものがあげられます。
- 造精機能の低下によるもの
- ED(勃起障害)によるもの
そしてこの2つのうち男性不妊でもっとも多いものが、造精機能(正常な精子をつくる機能)の低下によるものです。低下とは具体的には、精子の数が少ない「乏精子症(ぼうせいししょう)」、精液に精子がまったくいない「無精子症」、精子に元気がない「精子無力症」の3つがあります。
男性不妊でもっとも多い造精機能の低下とは?
精子の量や運動率が悪くなる造精機能の低下はどういうもので、なぜ起こるのでしょう。通常、精子は陰嚢(いんのう)の中にある精巣でつくられ、精巣上体や精管などを通って精液が完成します。精子は受精能力を身につけた完全な形になるまで、約90日もかかります。その過程の中で何らかの異常が起きた際、乏精子症・無精子症・精子無力症へとつながるのです。
①乏精子症
乏精子症は精子の数が乏しい状態、つまり数(精子濃度)が基準値よりも少ない状態をいいます。健康な人の精子の数は5000万〜1億ほどありますが、乏精子症の人は2000万よりも少なくなります。自然妊娠には4000万以上あることが望ましいとされていますので、その半分以下ということで妊娠しにくくなる原因になってしまうのです。
乏精子症が起こる原因としては、精巣の静脈に血液が逆流することで起こる「精索静脈瘤」、精巣がうまく働かず精子の産生能力が落ちる「造精機能障害」などがあります。ですが、まれに検査をしても原因がわからない場合もあります。精索静脈瘤は一般男性の15%に起こるもので、乏精子症の35%程度はこの症状が原因となっています。
精巣の静脈がこぶのように拡張し、精巣の温度が上昇することで、精子をつくる能力が低下します。精索静脈瘤は左側の陰嚢にできることが多く、膨らんでいる感じがあります。また、長時間座っていた時に痛みが出ることもあるため、自分で簡易的に確認ができます。
精索静脈瘤の治療法は、「低位結さつ術」と呼ばれる、こぶをなくす手術により行います。この手術により改善する場合が多く、精子の数や運動率が改善すれば自然妊娠することも可能です。乏精子症は、造精機能の低下による男性不妊の原因ではもっとも多いもので、精子数の低下は日本だけに限らず、世界中で起こっていることが確認されています。
②無精子症
無精子症は、精液の中に精子がまったくない状態をいいます。無精子症の人でも、精子自体はつくられているにもかかわらず、通路がふさがっているため排出することができない「閉塞性」のものと、そもそもつくられていない「非閉塞性」のものがあります。
無精子症になる原因は、乏精子症と同じく造精機能障害によるもののほか、閉塞性の場合は「精巣上体炎」や「鼠径(そけい)ヘルニア手術」、非閉塞性のものは「先天性精管欠損」などがあります。
精巣上体炎
精巣上体炎は、精巣上体が炎症を起こすことにより、精管がふさがって精子が通れない状態をいいます。主に細菌感染によって引き起こされますが、非細菌性のものもあります。
鼠径ヘルニア、精管結さつ術の手術によるもの
過去に鼠径ヘルニア手術を受けている場合、手術部位に精管が通っているため、ふさがってしまうことがあります。同様に、精管結さつ術(パイプカット)を行なっている場合も、精子を排出することができません。
先天性精管欠損
もともと精管がなく、精子が排出できない状態を先天性精管欠損といいます。この障害を持った人は、精巣や機能には問題はないことが多く、自然妊娠以外の方法では妊娠が可能です。
無精子症の治療は症状によって異なり、閉塞性の場合は「精路再建術」という手術というものが代表的です。これは精管のふさがっている部分のみを切除してつなぎなおすもので、9割以上の確率で精子の通過が可能になる手術です。
非閉塞性の場合は治療が難しいことが多いですが、薬物治療のほか、顕微鏡下精巣内精子回収法(micro-TESE)という精子を採取する方法があります。
③精子無力症
この症状は、精子運動率が正常値よりも低い場合をいいます。運動率とは、すべての精子のうち何%が元気に動いているかを示した割合で、40%以上が動いていれば正常とされています。乏精子症と同時に起こることも多く、それが不妊の可能性を高くしています。
精子無力症の原因は、先天的なものと後天的なものがあり、何らかの異常があって精子をつくる機能が低下した状態です。前立腺や精巣の炎症によって起こる場合もありますが、原因不明のケースも少なくありません。
薬物による治療で特に効くものはなく、精子の質を改善することが重要になるため、漢方薬や男性機能をアップするサプリメントなどを服用するのが効果的とされています。それでも改善がみられない時は、体外受精も検討します。
男性不妊を改善する食品は?
男性不妊に効果的な食品は、ビタミンEを多く含んだ抗酸化作用の強いものです。アーモンド・落花生などのナッツ類、ブロッコリー・モロヘイヤ・かぼちゃなどの緑黄色野菜、うなぎ・あんこうの肝などの魚介類に多く含まれています。
ほかにもビタミンCやミネラルなどをバランスよく摂取することも重要です。これらの食品は男性だけでなく女性にも効果があります。EDの予防・改善のためには、血流をよくすることも大切です。そのためには、昔ながらの日本食が効果的です。肉よりも魚や海藻、野菜類を多く摂るようにしましょう。
具体的には、ほうれん草・トマト・たけのこ・さつまいもなどの塩分を排出するもの、ひじき・昆布・小松菜・ごまなどのカルシウムが含まれたもの、海藻類などの水溶性食物繊維などが、血流の改善に効果的です。
また、英国の研究では、フルーツを食生活に取り入れることで、EDのリスクを低下させることがわかっています。特に抗酸化作用が強い、ブルーベリー・いちご・ぶどう・りんご・柑橘類などが有効です。
ほかにも、男性不妊に効果的だといわれているもので有名なのは、マカ・亜鉛・葉酸・アルギニンなどです。これらは性欲・精子の量・運動率・勃起力のアップに効果があります。
男性不妊を悪化させてしまう食品は?
精液に悪い食べ物として確認されているものは、赤肉や加工肉・精製小麦・お菓子・ジュースなどがあります。また、EDの人が避けたい食品としては、コレステロールや動物性脂肪の多い食品です。EDは血液の流れが悪いことでも起こりますので、高血圧や動脈硬化は大敵です。
ですから、肉類・乳製品・揚げ物・卵などを大量に摂ることは避けましょう。ジュースやカップラーメンなどの、体に悪くカロリーが高い食品を控えることも大切です。
男性不妊には亜鉛とマカどっちがいい?
男性不妊を改善したい時に迷うのが、どのサプリメントを摂取するかということです。どれが一番いいというのはあまりいわれておらず、どれも同じぐらい知名度があるようにも思えます。ですがちゃんと調べてみると、もっとも効果的なものが分かってきます。一般的に男性不妊に効果があるとされているものと、その特徴は以下のようになっています。
【葉酸】
妊活によいサプリメントとして知られている葉酸は、主に胎児の発育をよくしたり、身体を温めて妊娠しやすくしたり、受精卵が着床しやすい土台づくりを助けたりという効果があります。そのため、女性のための妊活や不妊でよく利用されていましたが、最近では男性にも効果がある可能性が示唆されています。
具体的には、男性が葉酸を摂取することで精子の数を増やす効果や、染色体異常を改善する効果が期待できます。これにより、奇形児や流産のリスクを減らすことができると考えられています。
【亜鉛】
亜鉛は身体中のあらゆる器官に存在している、人にとって重要な「必須ミネラル」です。亜鉛はアメリカでは「セックスミネラル」と呼ばれているほど、妊娠について関係の深い栄養素となっています。その理由は、亜鉛が男性の性線や前立腺に多く含まれており、精子の産生や男性ホルモンの分泌にも関わっているためです。
それだけではなく、亜鉛はビタミンAの抗酸化作用を促す働きがあり、それにより精子の質をよくすることができます。女性の場合も卵子の質がよくなります。亜鉛が不足してしまうと、男性機能が衰える可能性があるのです。
亜鉛によって分泌が増える男性ホルモンには「テストステロン」があります。テストステロンは、男性らしい体つきにするなどの働きのほかに、精力を維持する働きがあります。歳を重ねるごとに減っていくものでもありますので、亜鉛を摂り続けることで精力を含む男性機能をアップさせる効果があるというのは、理にかなっているといえます。
【マカ】
マカは、現地ペルーでは「アンデスの人参」と呼ばれており、滋養食とされているほど豊富な栄養素を含んでいます。主成分の炭水化物をはじめ、必須アミノ酸・たんぱく質・食物繊維・カルシウム・鉄・亜鉛・ビタミンC・ビタミンEなど、人の身体に必要な栄養素ばかりです。そして、その中には亜鉛も含まれており、その含有量は100gあたり約8gです。
亜鉛が豊富に含まれていることで知られる牡蠣が、100gあたり約13gですから、マカの亜鉛がどれだけ多いのかがわかります。また、マカには血流を良くするビタミンEも含まれており、EDを改善する作用もあります。精子の質やEDを改善するアルギニンも配合していますので、男性不妊改善のための食材だといっても過言ではありません。
ほかにもアルギニンやざくろなどが、不妊に効果があるといわれています。
この3つの中では、男性不妊に効く栄養素を多く含んだマカが一番効果的だといえるでしょう。マカは亜鉛も含んでいますので、亜鉛単体で摂取するよりもマカを摂取するほうが効率的で効果的です。
医薬品として使われているバイアグラという薬がありますが、マカは天然のバイアグラといわれているぐらいですので、その効果はかなり高いといえます。また、天然と合成ではもちろん天然のほうが効果が高くなりますので、天然のものを選びましょう。
精子の検査は病院と郵送どちらがいい?
サプリメントや生活習慣の改善など、妊活をしばらく続けていると、精子の数がどのように変わったのか、妊活の効果は出ているのか気になるかもしれません。精子の検査は郵送でもすることができますので、事情があって病院に行けない場合は、試してみるのもいいでしょう。
ただし、郵送検査では、男性不妊の場合はちゃんとした結果が出ないことがあります。その理由は、基本的に精子の検査は、採取後すぐ行うことが基本となっているからです。そのため、郵送の場合は目安程度に考えておくべきでしょう。ちゃんとした結果を知りたいのであれば、病院での検査をおすすめします。
精子力低下による男性不妊の予防と改善方法
男性が妊活をする場合、栄養の摂取も大事ですが、生活習慣の見直しも大事です。また、少し意識するだけで精子の質の低下を防ぐことができます。予防や改善方法は以下のようなものがあります。
育毛剤の使用に注意すること
- アルコール・タバコを控えること
- 禁欲をしないこと
- 通気性の良い下着を身に着けること
- サウナに行くのを控えること
- パソコンを使うときは膝の上に置かないこと
- 自転車に長時間乗るのを控えること
基本的には、陰嚢を温めないように注意することと、生活習慣を正すことです。また、プロペシアという錠剤の育毛剤を服用している場合は、その主成分である、フィナステリドという成分が精子に悪い影響を与えるため注意が必要です。
フィナステリドには、男性ホルモンの活性を抑える効果があり、それが原因になっていると考えられています。
おすすめのサプリメント
男性の不妊でもっとも効果的なサプリメントは「マカ」です。マカには亜鉛やアルギニンなど、男性機能をアップさせる成分が多く含まれているからです。マカに含まれている成分を食品で摂ろうとすれば、かなりの食材を食べなければならず、続けるのも困難です。そのため、サプリメントでの摂取をおすすめします。
ドクターズチョイス 黒マカ2000
「ドクターズチョイス 黒マカ2000」は産地ペルーでたった5%しか採れない幻の黒マカを100%配合しており、1日1,500〜3,000mg摂取することで、性欲・精子の数・運動量・精液量がアップすることが証明されています。EDにも効果的です。他社の約5倍の配合量で、1日たった4粒で2,000mgを摂取できます。
まとめ
不妊の原因も男性によるものが半数を占めており、妊活も女性のものだけではなくなっています。男性不妊を改善するサプリメントにはさまざまな種類がありますが、その中でも効果が高いのがマカです。そしてさらにマカの中でも、黄マカや赤マカよりも効果が高いのが黒マカです。