前立腺肥大症の薬には副作用があります【泌尿器科医監修】
前立腺肥大症は、尿路感染症や腎機能の低下などの合併症があらわれたり重症になったりすると、大きくなった前立腺部分を切除する手術を行いますが、軽い場合は薬を飲んで治療を行います。
前立腺肥大の薬にはいくつかの種類があり、すべての薬に副作用があるため注意が必要です。ただし、前立腺肥大症には、副作用のない対策方法があります。
この記事では、
- 前立腺肥大症の薬の効果と副作用
- 副作用なくできる前立腺肥大の対策
- おすすめの前立腺肥大対策の方法
前立腺肥大症 治療薬の種類、効能ならびに副作用
前立腺肥大症の薬は大きく以下の4つに分類されます。
- α1受容体遮断薬
- PDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害薬
- 5α還元酵素阻害薬
- 抗アンドロゲン薬
それぞれについて、処方される薬の名前や成分名とともに効果と副作用について解説します。
尿を出しやすくする「α1受容体遮断薬」
α1受容体遮断薬は、α1アドレナリン受容体遮断薬やα1ブロッカーともいわれ、前立腺肥大症による尿が出にくい排尿困難の薬として最も多く使われています。
代表的な薬は以下です。
- ハルナール(成分:タムスロシン)
- ユリーフ(成分:シロドシン)
- フリバス(成分:ナフトピジル)
効果
α1受容体遮断薬は、前立腺と膀胱の筋肉(平滑筋)を緊張・収縮させるα1受容体を妨げ、尿道を狭くする圧迫状態を軽減します。それによって以下が期待できます。
- 尿がでにくい排尿困難の症状の改善
- 頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感などの蓄尿症状の改善
内服後1週間以内など早い時期に効果を感じられ、薬を続けることで長期的な改善効果がみられる傾向です。ただし、肥大した前立腺を小さくする効果はありません。
副作用
副作用には以下のようなものがあります。
- 立ちくらみやめまいなどの起立性低血圧
- 倦怠感、食欲低下の肝機能障害
- 下痢、胃の不快感
- 射精障害 など
α1受容体は血管に存在します。そのため、この薬を服用すると血管の拡張や急な血圧の低下が起こり、立ちくらみやめまいなどがあらわれることがわかっています。また、まれですが肝機能障害が起こることがあります。倦怠感、食欲低下などが続く場合は医師や薬剤師にご相談ください。そのほか、下痢や胃の不快感など消化器系における症状、射精障害などがみられることがあります。
また、ほかの薬と併用する場合は医師の指示に従ってください。血圧を下げる高血圧治療薬や次に紹介するPDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害薬と併用すると、立ちくらみやめまいなどがおこったり低血圧になったりする可能性があるためです。
肝機能障害、起立性低血圧、腎機能障害などがある場合は注意が必要です。そのほか、白内障の手術に影響することがあるため、手術を行う場合は服用していることを担当医にお伝えください。
血管を広げ筋肉を緩める「PDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害薬」
ホスホジエステラーゼ5阻害剤は、血管を拡張し筋肉をゆるめる作用があります。
代表的な薬は、ザルティア(成分:タダラフィル)です。
効果
酵素のひとつである「PDE5(ホスホジエステラーゼ5)」には、血管や筋肉を収縮させる作用があります。ホスホジエステラーゼ5阻害剤は、この酵素の働きを抑えます。それによって期待できるのが、尿がでにくい排尿困難の症状改善です。
血管が広がり血流と酸素が増えることで、前立腺肥大症であらわれる排尿困難の症状が緩和されると考えられています。
副作用
副作用には以下のようなものがあります。
- ほてりや動悸、一過性の血圧低下
- 消化不良や下痢、胃炎
- 頭痛やめまい
- 筋肉痛、背中の痛み
- 発疹や蕁麻疹 など
血管が広がることで、ほてりや動悸、一過性の血圧低下が見られることがあります。また、消化不良や下痢、胃炎などの消化器系の症状、頭痛やめまい、筋肉痛、背中に痛みなどがあらわれることがあります。そのほか、まれですが発疹や蕁麻疹があらわれることもあり、この場合は服用を中止することになります。
また、ザルティアの主成分であるタダラフィルは、ED(勃起不全)治療の薬としても使われる成分です。陰茎内の血流がよくなるため、6時間以上持続する持続勃起が起こる可能性があります。この場合は、すぐに医師の診察を受けてください。
α1受容体遮断薬と併用すると立ちくらみやめまい、低血圧などの症状があらわれる可能性があるため注意が必要です。腎機能障害や肝機能障害がある場合は医師にご相談ください。用量について注意が必要な場合があります。また、これまでに病気にかかったことがある場合や合併症がある場合も医師にご相談ください。
前立腺を小さくする「5α還元酵素阻害薬」
5α還元酵素阻害薬は、先ほど紹介したα1受容体遮断薬による治療で効果がみられない場合に、α1受容体遮断薬と併用して用いられることもあります。
代表的な薬はアボルブ(成分:デュタステリド)です。
効果
5α還元酵素阻害薬は、男性ホルモンのテストステロンがより強力な男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)に返還される酵素( 5α還元酵素)の作用を抑える働きがあります。ジヒドロテストステロンは前立腺細胞を増殖させるため、5α還元酵素阻害薬で酵素の作用を阻害すると前立腺が縮小します。5α還元酵素阻害薬は、長期間服用すると以下が期待できます。
- 前立腺の縮小
- 前立腺肥大による排尿困難の症状の改善
5α還元酵素阻害薬は、効果があらわれるのに数ヶ月かかります。
副作用
副作用には以下のようなものがあります。
- 勃起不全、性欲減退、射精障害
- 総精子数、精液量、精子運動率の低下
- 乳房障害(女性のように乳房が膨らんだり痛みや不快感があらわれる)
- 倦怠感、食欲低下などの肝機能障害
- 胃の不快感 など
男性ホルモンによる前立腺への作用を抑えるため、勃起障害や性欲減退などの副作用があります。海外の臨床試験では、総精子数、精液量、精子運動率の低下がみられたという報告もあります。また、男性ホルモンの働きが弱まることで女性ホルモンの働きが強くなり、女性のように乳房が膨らみ痛みや不快感があらわれることも知られています。
注意点としては、この薬による治療では前立腺がんの発見が遅れる可能性があることです。前立腺が小さくなるため前立腺がんの症状を自覚しづらくなります。また、前立腺がんの指標となる血液中の前立腺特異抗原(PSA)の値が低くなるため発見しづらくなります。服用前と服用中にPSA検査を受けるなど、前立腺がんを見逃さないように注意しなければなりません。
また、この成分は皮膚から吸収されるため、女性や子供がカプセルの中の薬剤に触れないように注意する必要があります。触れてしまった場合は石鹸と水で洗い流してください。
そのほか、肝機能障害がある場合は医師にご相談ください。肝機能障害が重度の場合は服用できません。
前立腺を小さくする「抗アンドロゲン薬」
抗アンドロゲン薬は抗男性ホルモン薬ともいわれ、前立腺における男性ホルモンの作用を抑えます。
代表的な薬は、プロスタール(成分:酢酸クロルマジノン)です。
効果
抗アンドロゲン薬は男性ホルモンのテストステロンが作られること、テストステロンが前立腺の細胞に取り込まれることを抑え、前立腺の肥大化を防ぎます。5α還元酵素阻害薬と作用は異なりますが、抗アンドロゲン薬も男性ホルモンの作用を抑える薬で、以下の効果が期待できます。
- 前立腺の縮小
- 前立腺肥大による排尿困難の症状の改善
副作用
副作用には以下のようなものがあります。
- 勃起不全、性欲減退、射精障害
- 乳房障害(女性のように乳房が膨らんだり痛みや不快感があらわれる)
- ほてりなどの更年期障害
- 吐き気や下痢、胃の不快感
- 倦怠感、食欲低下などの肝機能障害
- 貧血 など
勃起不全や性欲減退、乳房障害などがみられる可能性があります。また、顔や体がほてったり急に汗をかいたりする更年期障害、吐き気や下痢、胃の不快感など消化器系における症状があらわれることがあります。まれですが肝機能障害が起こることもあり、倦怠感、食欲低下などが続く場合は医師や薬剤師にご相談ください。そのほか、貧血などの血液症状があらわれることもあります。
また、5α還元酵素阻害薬と同じように、前立腺がんの指標となるPSA値が低くなるため、前立腺がんを見逃さないよう注意が必要です。
副作用なく前立腺肥大症を対策する方法
前立腺肥大症は、加齢であらわれる症状のため処方薬でも完治は難しいといわれています。しかし、生活習慣の見直しや日頃からのケアで、予防や症状の緩和ができる可能性があります。
以下で、副作用なく前立腺肥大症を対策する方法を紹介します。
適度な運動
適度な運動で血流を良くすることは、前立腺肥大症を予防したり症状を緩和したりするとされています。
1日30分程度のウォーキングや、軽いストレッチなどの運動を日常生活に取り入れることがおすすめです。また、長時間座り続けると前立腺に負担がかかるため、1〜2時間に一度は立ち上がって少し動くように心がけると良いでしょう。
適度な水分摂取
日常生活において、こまめに水分を取る習慣をつけましょう。
体の中の水分が不足すると腎機能が低下するリスクが高くなります。腎機能が低下すると、夜間頻尿になることが多くなります。頻尿になると、トイレを気にして水分を控えようと考える方も多いかもしれませんが、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」によると、生活活動レベルが低い集団で 2.3〜2.5 L/日程度、生活活動レベルが高い集団で 3.3〜3.5 L/日程度の水分摂取が推奨されています。
(参考:https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586571.pdf?msclkid=12cea37eb57111ec9d8ebbb7be28bb1b)
しかし、カフェインやアルコールを含む過度な水分摂取、特に夕方以降は夜間のトイレの回数が増えることがあるため注意が必要です。
ぬるめのお湯にゆっくり浸かる
ぬるめのお湯にゆっくり浸かって血行を促すこともおすすめです。前立腺の病気にはストレスが関わっていることが報告されており、入浴によってストレス軽減や緊張の緩和などのメリットがあります。
また、体が冷えて汗をかかなくなると体内の余分な水分を排出しようと尿の量が増えます。さらに寒さが刺激となり膀胱の筋肉が収縮して尿意を感じやすくなります。日頃から下半身を冷やさないよう意識すると良いでしょう。
食生活の改善
食生活においては、以下の成分を意識して取り入れることをおすすめします。
●不飽和脂肪酸
●イソフラボノイド
不飽和脂肪酸は植物や魚に含まれています。私たちの体内では作ることができないため食べ物から積極的に摂取すると良いでしょう。前立腺が肥大する原因のひとつとして、コレステロールの摂りすぎが挙げられていますが、不飽和脂肪酸はコレステロールを下げる作用があり、前立腺肥大症を防ぐ効果もあると考えられています。
(参考:https://moh-it.pure.elsevier.com/en/publications/macronutrients-fatty-acids-cholesterol-and-risk-of-benign-prostat)
イソフラボノイドは、野菜や穀物、大豆などに多く含まれる成分です。イソフラボノイドには、前立腺肥大症を防ぐ効果があると考えられています。
(参考:https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/08_prostatic_hyperplasia.pdf#page=20)
便通をよくすることも推奨されているため、野菜の摂取を心がけましょう。また、香辛料などの刺激性のある食べ物は控えると良いでしょう。
高品質なサプリメントの摂取
高品質なサプリメントの摂取もおすすめです。
ほとんどの処方薬で副作用が報告されており、処方薬の服用をやめると服用前の症状に戻ることもあります。一方サプリメントは前立腺肥大症に有効とされる成分を多く含みますが、処方薬にみられるような副作用の心配がなく安心です。
ドクターズチョイスが開発した「前立腺肥大対策サプリメント」は、泌尿器科医が推奨する以下の4大成分をすべて配合した、前立腺のトータルケアを実現するサプリメントです。
植物ステロール(β-シトステロール)
ノコギリヤシ
ピジウム・アフリカーナ
リコピン
ひとつずつ、特徴を確認していきましょう。
植物ステロール
植物ステロールは、血中コレステロ-ルの濃度を下げる作用が知られており、生活習慣病の予防や改善などに用いられる成分です。
臨床研究では、植物ステロールを3ヶ月投与したところ、国際前立腺症状スコアと前立腺肥大症の症状による不満度を表すQOLスコアで改善がみられたこと、副作用がなかったことが示されています。
前立腺肥大症は、コレステロールの過剰摂取も指摘されています。そのため、植物ステロールによってコレステロール値が下がることは、前立腺肥大症の予防につながると考えられます。
臨床研究では、植物ステロールを3ヶ月投与したところ、国際前立腺症状スコアと前立腺肥大症の症状による不満度を表すQOLスコアで改善がみられたこと、副作用がなかったことが示されています。
ノコギリヤシ
ノコギリヤシは泌尿器系の症状改善のために多く使われる成分です。とくにヨーロッパで前立腺肥大による排尿障害の治療薬として広く使われ、尿路感染症、膀胱の問題、ホルモンバランスの問題、精子の生成を促すなど、前立腺に関わる様々な症状に効果を発揮します。
臨床試験では、ノコギリヤシによって、前立腺肥大の重症度を表す「国際前立腺症状スコア(IPSS)」が低下し症状が改善したという報告があります。
ただし、ノコギリヤシだけを過剰摂取すると、炎症の原因となる活性酸素が発生することが知られています。そのため、前立腺肥大対策サプリメントでは活性酸素を減らす「イラクサ」も配合しました。前立腺肥大対策サプリメントであれば活性酸素が発生するという副作用を心配することなく、ノコギリヤシを摂取できます。
ピジウム・アフリカーナ
ピジウム・アフリカーナは、アフリカにおいて、古くからマラリヤや腎臓の病気、精神異常、腹痛、食欲不振、下剤などさまざまな症状に用いられてきた成分です。また、前立腺を小さくして排尿障害の症状を和らげる作用があることが知られています。
臨床試験では、国際前立腺症状スコアと排尿量の改善が示されています。また、短期間で夜間頻尿や残尿感などの改善がみられたことも報告されています。
リコピン
トマトに多く含まれていることで知られるリコピンには、前立腺における問題に作用する働きがあり、前立腺がんの予防になることが期待されています。
前立腺がんの検査として前立腺特異抗原(PSA)の値を検査するPSA検査がありますが、臨床試験において、リコピンの投与によってPSAの値が下がったこと、前立腺肥大が進行しなかったこと、さらに国際前立腺症状スコアが改善したことが示されています。
前立腺肥大対策サプリメントには、上記に加えて前立腺をサポートするとされる多くの成分がたっぷり含まれています。前立腺肥大症は、50代以上のほとんどの男性に見られる病気です。
前立腺肥大対策サプリメントは、50代の3人に1人、60代の2人に1人にあらわれる前立腺肥大症の予防や改善を目指します。