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◇目次◇
しらくも(頭部白癬)とは
しらくも(頭部白癬)は、カビの一種である白癬菌が頭皮や髪の毛に寄生して繁殖することで生じる感染症です。
発症する部位によって呼び方が異なります。
足に感染するものを「水虫」、体幹にできるものを「ぜにたむし」、太ももの付け根(鼠径部)にできるものを「いんきんたむし」、そして頭皮に発症するものを「しらくも」といいます。
しらくも(頭部白癬)症状と画像
しらくもの症状としては、脱毛やフケ、かゆみが一般的です。
放っておいて悪化すると頭皮が化膿したり脱毛範囲が広がってしまいます。
さらにまれに発熱やだるさなど頭部以外の症状を伴うことも有ります。
ちなみに
頭皮のフケやかゆみを引き起こす病気には、脂漏性皮膚炎や尋常性乾癬、シラミなど様々な種類がありますが、脱毛が見られるようになった場合、しらくもが疑われます。
また、しらくもを引き起こす白癬菌には様々な種類があり、それによって症状も異なります。
髪の毛が頭皮の表面よりほんの少し上から折れ、短い毛が残るものは「グレーパッチリングワーム」という感染症です。
頭皮のすぐ表面で髪の毛が折れてしまう症状は、「ブラックドットリングワーム」と呼ばれ、毛根に残った毛がプツプツと点状に見えることが特徴です。
髪の毛が途中で折れてしまう原因は、寄生した白癬菌が髪の毛のたんぱく質をエサにする為、髪が頭皮表面で切れたり、部分的な脱毛が進行する為です。
この後ご説明する最近急増している「トンズランス菌」によるしらくもの場合は、感染力が非常に強い反面、その初期症状は比較的軽いといいます。毛穴に菌が入り込むせいで黒い点ができたり、かさぶたが少々できる程度の症状しか出ないことも少なくありません。
ただし、そのまま放置していると脱毛や膿による炎症が起きる例も報告されています。
しらくもの原因
しらくもの原因は白癬菌。いわゆる水虫菌です。白癬菌は真菌の一種です。
白癬菌は、たんぱく質の一種である「ケラチン」を養分にします。
私たち人間の皮膚や髪、毛、爪などには、そのケラチンが多く含まれているため、絶好の寄生場所となるのです。
しらくもは昔は小児特有の感染症でしたが今はそうとも言えません。
水虫やたむしと同様に、大人でもかかります。
特に、2000年以降は「トンズランス菌」と呼ばれる「新型の白癬菌」によるしらくもが急増しています。
このトンズランス菌は、もともと南米に生息している菌でしたが、レスリングや柔道といった格闘技を通じて、選手間でうつったと考えられています。
トンズランス菌(新型白癬菌)の特徴と注意点
通常の白癬菌に比べトンズランス菌の感染力はものすごく早く強いので注意が必要です。
菌をもらった選手が帰宅して家族や子供と触れ合うなどして競技をしない人たちにもあっという間に広がってしまうことも少なくありません。
なので、移りそうな環境に居る人は、菌が体に浸透する前に菌を殺す成分の入ったソープでできるだけ早く殺して洗い流す事を心掛けましょう。
その際、普通のソープは逆効果なので、注意しましょう。
その理由はこのページの下の方でご説明します。
ちなみに、トンズランス菌など白癬菌(真菌)を殺す効果が証明されている成分が「ティーツリーオイル」です。
昔から天然の抗生物質と言われ広く薬用成分として活用されています。
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皮膚科の誤診でとんでもない事に
しらくもで脱毛した部位は円形脱毛症や脂漏性皮膚炎と誤診されることもあります。
かかりつけの内科で相談したところ「恐らく円形脱毛症でしょう」といわれ、何年も治癒することなく悩み続けていた患者さんも実際にいらっしゃいます。
他の皮膚炎だと診断され、間違ってステロイド外用薬の処方が行われてしまうと、膿をもって腫れあがり、痛みを生じることも珍しくありません。
しらくもの感染経路
以前のしらくもは、学校で集団感染することが多かったといわれています。しかし、現代ではトンズランス菌(新型白癬菌)が急増しており、主に柔道やレスリング、相撲などの競技やスポーツが主な感染経路です。
白癬菌は、足や皮膚に感染した場合であれば、赤い斑点や水疱、皮剥けなどが出るため見つけやすいのですが、しらくもは髪に隠れているためわかりにくく、本人すら気づかないうちに感染を広げてしまうことも少なくありません。
ほんの数分間の試合時間でも、接触した部位からどんどんうつるといいます。さらに、部活や合宿などで集団生活をしていると、落ちた髪の毛やフケ、垢などから感染するリスクも高まるため注意が必要です。タオルや枕などの寝具、競技着からうつることもあります。
もちろん、柔道やレスリングなどの競技をしない人でも、しらくもに感染する可能性は否定できません。
特に、家族がこれらのスポーツをやっている場合には、知らず知らずのうちに自宅でうつるケースも報告されています。
そうやって感染した人が、また別の人と接触することによってトンズランス菌系のしらくもは広がっていくのです。
なので、「自分の家族は何も競技をしていないから、しらくもになることはないだろう」と決めつけてはいけません。
最近急増しているトンズランス菌(新型白癬菌)系のしらくもの場合、皮膚に菌が根付く前に菌を殺す成分(ティーツリーオイル)配合のソープですぐに洗い流す事がとても重要です。
しらくもを自宅で治す方法
先ほどご説明した様に、トンズランス菌系のしらくもに感染しやすい環境に居る人は、すぐに菌を殺して洗い流す事を常に心掛けましょう。
トンズランス菌系白癬菌も一般の白癬菌も「真菌」の一種です。
なので「抗真菌薬」が有効です。
ですが、市販の抗真菌薬には、かゆみ止め成分や局所麻酔薬が配合されていることが多いため、これらの成分が刺激となり、別の感染症を起こす危険性もあります。自己判断で市販薬を使用すると、「ケルズス禿瘡」のリスクも高まるので注意してください。
さらに しらくもは、頭皮から細かいフケ状の鱗屑が出たり、軽いかゆみを自覚することが多い事から市販薬のかゆみ止めを使う方が多いです。
かゆみ止め薬で症状が一時的に治まったように見えても、皮膚の菌自体は死んでいないので根本的治療を忘れずに行いましょう。
特にかゆみ止めにより「症状がなくなったから、しらくもが治った」と勘違いしてしまうのが一番危険です。
根本的に治っておらず、保菌者であることには変わらないため、まわりの人へ次々にしらくもを移してしまいます。
しらくもを他人に移さない心掛けについて具体的にご説明します
頭皮を含め、皮膚上には良い菌と白癬菌の様な悪い菌が共に存在しています。
常在菌と言います。
これらの菌はお互いに勢力争いをしており、健康な状態では均衡を保っています。
ところが大量の白癬菌に感染したり、良い菌が死滅したり洗い流されたりしてしまうと
白癬菌などの悪い菌が勢力を伸ばし、しらくもの症状として現われます。
しらくもに感染したら普通のソープで洗ってはいけない理由は、普通のソープは白癬菌を殺す事ができない一方
ゴシゴシ洗う事により、良い菌が洗い流されてしまい、かえって悪い菌(白癬菌)が優勢になってしまうからです。
「水虫になったら普通のソープで洗ってはいけない。お湯で洗え!」というのは有名な話です。
そこでお勧めなのが先ほどからご説明しているティーツリーオイル配合のソープです。
ティーツリーオイルは、白癬菌などの「真菌」のみならず「細菌」も殺す事が多くの臨床研究で証明されています。
ただし、とても強いオイルなので原液で使うのは厳禁です(皮膚を悪化させます)。
ティーツリーオイル配合の物を使う事により、白癬菌を殺す事が可能になります。
予防、および治療の為に日々ティーツリーオイル配合のソープで洗いましょう。
ファンガソープEXは頭と体に使えるシャンプー兼ボディーソープです。
しらくもは、白癬菌というカビが原因で起こる感染症です。
そのため、日本国内で販売されている通常のフケ用市販シャンプーでは、しらくもの症状を改善することができません。
ソープ同様、普通のシャンプーの使用はしらくもを悪化させる原因になるので注意しましょう。
ファンガソープEXで洗った後は、ティーツリーオイル配合の軟膏、ファンガクリームを患部に塗りましょう。
特に他の人に移さない為にも患部だけでなくその周辺にも広めにファンガクリームを塗るようにしましょう。
皮膚のターンオーバーには最低1か月かかります。
しらくもの原因菌(白癬菌)がどのくらい皮膚の奥まで根を張っているかにもよりますが
最低1か月~3か月は毎日怠らず上記のケアをしましょう。
しらくもの症状が完全に無くなっても、しらくもはすぐに感染します。
しらくもに感染しやすい環境に居る人は日ごろからファンガソープEXでしらくも(白癬菌)が根を張る前に洗い流す習慣をつけておきましょう。
しらくもで脱毛した毛を再生させる方法
一度脱毛してしまった部分を再び元の状態に戻すには、当然それなりの時間がかかります。
髪の毛の栄養成分で重要なのがビオチンという成分です。
健康な肌、髪の毛、爪を維持するにはビオチンは必須成分です。
少しでも早く脱毛部分を回復したい場合には
ドクターズチョイス ビオチン5000プラスがお勧めです。
しらくもに関するその他の情報
病院でのしらくもの検査と診断について
しらくもは、頭髪や頭皮の鱗屑を顕微鏡で確認してから診断されるのが一般的です。また、「ブラシ検査」と呼ばれる培養検査を実施する病院もあります。
ブラシ検査は、その名の通り「短めの毛が並んだブラシ」で頭皮と髪を10~15回程度とかし、その先端を寒天に押しこんで培養を行うものです。
2週間の培養後、どのような菌が増えているのかを確認するというシンプルな方法ですが、保有している菌の種類を特定するには最適だといわれています。
また、真菌の種類を特定する際には、特殊な紫外線を当てて検査を行うこともあります。
2000年代以降は、日本でもトンズランス菌の保菌者が増加しています。しかし、トンズランス菌による頭部白癬は、通常のたむしやしらくもと症状が異なるので、いまだに誤診をしてしまう皮膚科医もいます。
間違った診断により、ステロイド薬などを処方されると「ケルズス禿瘡」などを起こして重症化するリスクがあります。そのため、しらくもの検査をする際には「トンズランス菌の検査はしていますか?」と事前に病院へ確認しておくと安心です。
病院でのしらくもの治療方法
グリセオフルビンと呼ばれる経口抗真菌薬を4~6週間程度服用します。
成人のしらくもの場合は、経口抗真菌薬のテルビナフィンやイトラコナゾールを内服して治療をします。治療にかかる期間は、使用する薬剤やしらくもの状態によって異なります。
ただし、抗真菌の飲み薬は肝臓に大きな負担をかけてしまうことがあるため、副作用に注意しながら服用しましょう。
さらにシャンプーを処方される事も有ります。
硫化セレンシャンプーという物ですが、週2~3回以上使用します。
頭皮の炎症がひどい場合や禿瘡が起きている箇所については、プレドニゾロンなどの「コルチコステロイド」の短期間処方が行われることもあります。
病院でのしらくもの治療は、医師から指導された期間を必ず守るようにしましょう。
経口抗真菌薬を飲み始めると、1週間ほどで鱗屑やかゆみといった症状が軽減します。しかし、「症状がなくなったから、もう大丈夫」と処方薬を飲むことを勝手に中止してしまうと、再びしらくもの症状が出てきます。
これは、目に見える症状が落ち着いただけであって、頭髪や頭皮の中の白癬菌が全て死滅したわけではありません。少しでも真菌が残っていれば、再びケラチンをエサにして増殖し始めてしまうのです。
医師から「しらくもが完治しましたよ」と診断されるまでは、指定された量の抗真菌薬を飲み続けるようにしてください。決して自己判断で治療を中止してはいけません。
また、しらくもの治療中には、いくら症状が落ち着いたとしても保菌者であることには変わりありません。そのため、家族や友達などに白癬菌を移してしまう恐れがあります。
保菌者がいる家庭やサークル、部活などではしらくもの感染拡大予防を徹底しましょう。
頭髪やフケに含まれる菌は、およそ6か月は生存するといわれています。そのため、部屋や練習場は毎日しっかりと掃除を行うようにしてください。
濡れた雑巾で拭くと、菌が好む湿度を与えることになるため、できるだけ掃除機を使って吸い取ることをおすすめします。
その他、服や練習着のこまめな洗濯はもちろんのこと、練習後、ティーツリーオイル配合のソープでシャワーや入浴を積極的に行い、清潔を保つように心がけましょう。
この記事の監修ドクター
自然療法医 ヴェロニカ・スコッツ先生
ブラジルのリオグランデドスル・カトリック大学認定の自然療法専門医。アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得しており、専門医として自然由来のサプリメントに関する知識と精密な現代科学のデータを組み合わせて診断や治療を行っています。自身のフィットネスインストラクターとしての16年間の経験を活かし、多くの患者が抱える肉体的な問題だけでなく、精神的な問題も含めて、自然由来のサプリメントを用いた新しい“先見的な予防医学”にも注力しています。