弊社の商品開発チームの医師監修
Q. しらくも(頭皮白癬)になると、どのような症状が出ますか?
A. しらくもの主な症状は、乾燥したうろこ状の発疹、頭皮に細かいフケ状の鱗屑、楕円状の脱毛などがあげられます。また、若干のかゆみが伴うケース少なくありません。フケやかゆみだけでなく、脱毛や切れ毛が気になる場合には頭皮白癬を疑います。
しらくも(頭皮白癬)に関する基礎知識
目次
この記事の監修ドクター
自然療法医 ヴェロニカ・スコッツ先生
ブラジルのリオグランデドスル・カトリック大学認定の自然療法専門医。アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得しており、専門医として自然由来のサプリメントに関する知識と精密な現代科学のデータを組み合わせて診断や治療を行っています。自身のフィットネスインストラクターとしての16年間の経験を活かし、多くの患者が抱える肉体的な問題だけでなく、精神的な問題も含めて、自然由来のサプリメントを用いた新しい“先見的な予防医学”にも注力しています。
しらくも(頭部白癬)とは
しらくも(頭部白癬)は、カビの一種である白癬菌が頭皮や髪の毛に寄生して繁殖することで生じる、感染症です。皮膚糸状菌症に分類されており、発症する部位によって呼び方が異なります。
足に感染するものを「水虫」、体幹にできるものを「ぜにたむし」、太ももの付け根(鼠径部)にできるものを「いんきんたむし」、そして頭皮に発症するものを「しらくも」といいます。
戦前の日本では、しらくもになる子供がよく見られました。しらくもの原因菌である白癬菌は非常に感染力が強いため、学校で流行することも珍しくなかったといわれていますが、現在では稀です。
しらくもの原因になる皮膚糸状菌(真菌)は、自身が生き延びるためにたんぱく質の一種である「ケラチン」を養分にします。私たち人間の皮膚や髪、毛、爪などには、そのたんぱく質が多く含まれているため、絶好の寄生場所となるのです。
もちろん、しらくもは小児だけの感染症ではありません。水虫やたむしと同様に、大人でもかかります。特に、2000年以降は「トンズランス菌」と呼ばれる新型の菌によるしらくもが増加しており、注意が必要です。
このトンズランス菌は、もともと南米に生息している菌でしたが、レスリングや柔道といった格闘技を通じて、選手間でうつったと考えられています。
当然、トンズランス菌の感染力も強いので、菌をもらった選手が帰宅して家族や子供と触れ合うなどして競技をしない人たちにも広がってしまうことも少なくありません。
しらくもの症状は?初期症状は自分でわかるの?
しらくもの主な症状は、頭皮に細かいフケ状の鱗屑がみられることや、楕円状に脱毛することです。また、乾燥したうろこ状の発疹に若干のかゆみが伴うケースもあります。
ただし、これらの症状が全ての患者さんに出るわけではないため、素人が初期の自覚症状だけで「しらくもか否か」を判断することは困難でしょう。
また、しらくもを引き起こす真菌には様々な種類があり、それによって症状も異なります。
髪の毛が頭皮の表面よりほんの少し上から折れ、短い毛が残るものは「グレーパッチリングワーム」という感染症です。また、頭皮のすぐ表面で髪の毛が折れてしまう症状は、「ブラックドットリングワーム」と呼ばれ、毛根に残った毛がプツプツと点状に見えることが特徴です。
前述した「トンズランス菌」によるしらくもの場合、感染力が非常に強い反面、その初期症状は比較的軽いといいます。毛穴に菌が入り込むせいで黒い点ができたり、かさぶたが少々できる程度の症状しか出ないことも少なくありません。
ただし、そのまま放置していると脱毛や膿による炎症が起きる例も報告されています。
いずれにせよ、しらくもの診断には医師の診察と検査が必要です。
ただし、しらくもで脱毛した部位は円形脱毛症や脂漏性皮膚炎と誤診されることもあるため、経験豊富な皮膚科医に診てもらうことが何よりも大切です。
かかりつけの内科で相談したところ「恐らく円形脱毛症でしょう」といわれ、何年も治癒することなく悩み続けていた患者さんも実際に存在したといいます。
万が一、他の皮膚炎だと診断され、間違ってステロイド外用薬の処方が行われてしまうと、膿をもって腫れあがり、痛みを生じることも珍しくありません。
これを、「ケルズス禿瘡(ケルズスとくそう)」といい、しらくもに副腎皮質ホルモン(ステロイド)外用薬を誤用したことで、犬小胞子菌をはじめ、猩紅色菌、毛瘡菌、疣状菌、石膏状小胞子菌などの感染を起こしてしまうものです。
重症化すると、水疱や瘢痕を残す脱毛を引き起こすこともあるため、早期に適切な抗白癬剤を用いて治療するようにしましょう。
また、症状から「自分はしらくもではない」と決めつけて、市販の外用薬を塗布することも避けてください。しらくもの患部に間違った薬を塗ることは、別の重篤な感染症を引き起こす原因にもなってしまいます。
少しでもおかしいなと感じることがあれば、迷わず皮膚科医へ相談することをおすすめします。
しらくもはどんな場所でうつる?
以前のしらくもは、学校で集団感染することが多かったといわれています。しかし、現代では主に柔道やレスリング、相撲などの競技やスポーツが主な感染経路です。
白癬菌は、足や皮膚に感染した場合であれば、赤い斑点や水疱、皮剥けなどが出るため見つけやすいのですが、しらくもは髪に隠れているためわかりにくく、本人すら気づかないうちに感染を広げてしまうことも少なくありません。
また、2000年頃から再び見られるようになった「しらくも」は、トンズランス菌が原因になっているものが多く、感染力が高いのが特徴です。
ほんの数分間の試合時間でも、接触した部位からどんどんうつるといいます。さらに、部活や合宿などで集団生活をしていると、落ちた髪の毛やフケ、垢などから感染するリスクも高まるため注意が必要です。タオルや枕などの寝具、競技着からうつることもあります。
もちろん、柔道やレスリングなどの競技をしない人でも、しらくもに感染する可能性は否定できません。特に、家族がこれらのスポーツをやっている場合には、知らず知らずのうちに自宅でうつるケースも報告されています。
そうやって感染した人が、また別の人と接触することによってしらくもは広がっていくのです。
「自分の家族は何も競技をしていないから、しらくもになることはないだろう」と決めつけてはいけません。あなたの友人や知人の家族がしらくもに感染すれば、巡り巡ってうつる可能性があるといえるでしょう。
しらくもを市販薬で治せるのか?
しらくもの疑いがあるときに、「病院へ行く時間がないから市販薬で治したい」「しらくもだったら恥ずかしいから、こっそり治療したい」と考える人は多いかもしれません。
しかし、頭皮白癬は一般の水虫用市販薬では十分な効果が期待できないため、できるだけ早く皮膚科を受診するようにしましょう。また、病院で適切な検査を行わなければ、本当にしらくもなのかどうかも判断がつきません。
市販の抗真菌薬には、かゆみ止め成分や局所麻酔薬が配合されていることが多いため、これらの成分が刺激となり、別の感染症を起こす危険性もあります。自己判断で市販薬を使用すると、前述した「ケルズス禿瘡」のリスクも高まるので注意してください。
しらくもでは、頭皮から細かいフケ状の鱗屑が出たり、軽いかゆみを自覚することが多いです。市販薬に含まれているかゆみ止め成分や保湿成分によって、これらの症状が一時的に治まったように見えても、皮膚の菌は完全に消失していません。
多くの人は「症状がなくなったから、しらくもが治った」と勘違いしてしまう傾向がありますが、実はこの状態が一番危険なのです。
保菌者であることには変わらないため、まわりの人へ次々に白癬菌をうつしてしまいます。
また、白癬菌や水虫に効くといわれている民間療法では、しらくもを完治させることはできません。どうしても病院へ行きたくない人が、「酢で頭を洗う」「緑茶で髪をすすぐ」などの方法でしらくもを治そうとしているのを目にすることがありますが、全くの無意味です。
効果の出ない民間療法を行っている間にも、しらくもは徐々に進行してしまいます。
「もしかして、しらくもになってしまったかもしれない」と感じたら、必ず皮膚科医の診察と検査を受けるようにしましょう。
シャンプーで改善しないフケはしらくもかも
頭皮のかゆみや大量のフケに悩む人は少なくありません。そのため、フケを抑えるためのシャンプーやかゆみを防ぐ成分が配合されたシャンプーも数多く販売されています。
頭皮の乾燥や荒れを抑制する有効成分としては「グリチルレチン酸ジカリウム」がメジャーです。また、べたつく脂性フケ対策には「ミコナゾール硝酸塩」が効果的だといわれています。
しかし、これらのシャンプーを使用してもフケやかゆみの症状が改善されないときには、他の皮膚病が隠れている可能性も否定できません。
頭皮のフケやかゆみを引き起こす病気には、脂漏性皮膚炎や尋常性乾癬、シラミなど様々な種類がありますが、脱毛が見られるようになった場合、しらくもが疑われます。
かゆみやフケの原因がしらくもであれば、市販のフケ用シャンプーを使用していても改善することはありません。自己流の頭皮ケアを中止してすみやかに医師の診察を受けるようにしましょう。
しらくもでフケが出る原因は、寄生した白癬菌が頭皮のたんぱく質をエサにすることがあげられます。また、髪を構成するたんぱく質の一種「ケラチン」も養分にしてしまうため、髪が頭皮表面で切れたり、部分的な脱毛が進行したりすることも多いのです。
一度脱毛してしまった部分を再び元の状態に戻すには、当然それなりの時間がかかります。また、しらくもによって髪がなくなった箇所を隠すのも、かなりストレスになるものです。
初期段階のうちに適切な治療を開始すれば、あなたの大切な髪を守ることができるので躊躇わずに皮膚科へ足を運びましょう。
しらくもの検査と診断について
しらくもは、頭髪や頭皮の鱗屑を顕微鏡で確認してから診断されるのが一般的です。また、「ブラシ検査」と呼ばれる培養検査を実施する病院もあります。
ブラシ検査は、その名の通り「短めの毛が並んだブラシ」で頭皮と髪を10~15回程度とかし、その先端を寒天に押しこんで培養を行うものです。
2週間の培養後、どのような菌が増えているのかを確認するというシンプルな方法ですが、保有している菌の種類を特定するには最適だといわれています。
また、真菌の種類を特定する際には、特殊な紫外線を当てて検査を行うこともあります。
2000年代以降は、日本でもトンズランス菌の保菌者が増加しています。しかし、トンズランス菌による頭部白癬は、通常のたむしやしらくもと症状が異なるので、いまだに誤診をしてしまう皮膚科医もいます。
間違った診断により、ステロイド薬などを処方されると「ケルズス禿瘡」などを起こして重症化するリスクがあります。そのため、しらくもの検査をする際には「トンズランス菌の検査はしていますか?」と事前に病院へ確認しておくと安心です。
しらくもの治療方法は?
子供のしらくもの場合には、グリセオフルビンと呼ばれる経口抗真菌薬を4~6週間程度服用することで治療ができます。薬剤名は「ポンシルFP錠」が一般的ですが、ジェネリック医薬品の「グリフルビン」なども、同様の効き目と安全性が確認されています。
ただし、抗真菌の飲み薬は肝臓に大きな負担をかけてしまうことがあるため、副作用に注意しながら服用しましょう。
しらくもを治療している期間も学校に通うことはできますが、治療中に幼稚園や学校で他の子供にしらくもをうつさないよう、抗真菌薬クリームを頭皮に塗布する必要があります。
自宅では、処方された硫化セレンシャンプーを週2~3回以上使用するように指導されるケースも多いです。
成人のしらくもの場合は、経口抗真菌薬のテルビナフィンやイトラコナゾールを内服して治療をします。治療にかかる期間は、使用する薬剤やしらくもの状態によって異なるため、医師とよく相談しながら治していきましょう。
頭皮の炎症がひどい場合や禿瘡が起きている箇所については、プレドニゾロンなどの「コルチコステロイド」の短期間処方が行われることもあります。
しらくもは治療期間を守らないと再発する
しらくもの治療は、医師から指導された期間を必ず守るようにしましょう。
経口抗真菌薬を飲み始めると、1週間ほどで鱗屑やかゆみといった症状が軽減します。しかし、「症状がなくなったから、もう大丈夫」と処方薬を飲むことを勝手に中止してしまうと、再びしらくもの症状が出てきます。
これは、目に見える症状が落ち着いただけであって、頭髪や頭皮の中の白癬菌が全て死滅したわけではありません。少しでも真菌が残っていれば、再びケラチンをエサにして増殖し始めてしまうのです。
医師から「しらくもが完治しましたよ」と診断されるまでは、指定された量の抗真菌薬を飲み続けるようにしてください。決して自己判断で治療を中止してはいけません。
また、しらくもの治療中には、いくら症状が落ち着いたとしても保菌者であることには変わりありません。そのため、家族や友達などに白癬菌をうつしてしまう恐れがあります。
保菌者がいる家庭やサークル、部活などではしらくもの感染拡大予防を徹底しましょう。
頭髪やフケに含まれる菌は、およそ6か月は生存するといわれています。そのため、部屋や練習場は毎日しっかりと掃除を行うようにしてください。
濡れた雑巾で拭くと、菌が好む湿度を与えることになるため、できるだけ掃除機を使って吸い取ることをおすすめします。
その他、服や練習着のこまめな洗濯はもちろんのこと、練習後のシャワーや入浴を積極的に行い、清潔を保つように心がけましょう。
しらくもにおすすめのシャンプー
しらくもは、白癬菌というカビが原因で起こる感染症です。そのため、日本国内で販売されている通常のフケ用市販シャンプーでは、しらくもの症状を改善することができません。
そこでおすすめなのが、高い殺菌力と抗菌力を併せ持つ「ティーツリーオイル」が配合された薬用シャンプーです。しらくもの原因菌である白癬菌を根こそぎ退治し、ポロポロと落ちるフケやかゆみを抑えて健康な頭皮に導きます。
ドクターズチョイス ファンガーソープEX
「病院から処方された薬だけでは、しらくもが改善しない」「少しでも早くしらくもの症状を抑えたい」という方には、カビや菌に直接アプローチする殺菌力の高いシャンプーでのケアが必要です。
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まとめ
しらくもは、足の水虫と同じ菌が原因で発症するため、「頭に水虫ができるなんて恥ずかしい」「不潔にしていたと思われるのが嫌だ」とネガティブに捉えられがちです。
そのため、なかなか病院で診察を受けようとしない方も多いのですが、市販薬や一般のフケ用シャンプー、民間療法だけでしらくもを完治させることはできません。
それどころか、治療のスタートが遅くなると脱毛や切れ毛などの症状が進行したり、膿が溜まって炎症を起こしてしまったりすることもあるといいます。さらに、まわりの人へ感染させてしまう恐れもあるので注意が必要です。
最近では新しい抗真菌薬も多く開発されているため、その人に合ったしらくもの治療法を選ぶことが可能になっています。
万が一、頭皮や髪に異常を感じた場合には、できるだけ早めに皮膚科医へ相談するようにしましょう。