【ドクタースコッツ監修】毛じらみは自宅で完治できます。新しい毛じらみ治療とは?
この記事の監修ドクター
自然療法医 ヴェロニカ・スコッツ先生
ブラジルのリオグランデドスル・カトリック大学認定の自然療法専門医。アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得しており、専門医として自然由来のサプリメントに関する知識と精密な現代科学のデータを組み合わせて診断や治療を行っています。自身のフィットネスインストラクターとしての16年間の経験を活かし、多くの患者が抱える肉体的な問題だけでなく、精神的な問題も含めて、自然由来のサプリメントを用いた新しい“先見的な予防医学”にも注力しています。
毛じらみとは
毛じらみは、ケジラミという吸血性昆虫がデリケートゾーンにかゆみを引き起こす病気です。原因となる昆虫と感染症の名前を区別するために、「毛じらみ症」と呼ばれることもあります。
ケジラミはヒトに寄生するシラミの1種ですが、中でも陰毛を好んで寄生するシラミです。そのため、毛じらみは性交渉によって感染する性感染症としても知られていますが、毛布などの寝具を介しての家族間の感染も起こりえます。特に、お母さんと赤ちゃんは触れ合う機会が多いため感染する確率が高くなります。
シラミの種類
種類 | ケジラミ | アタマ ジラミ |
コロモ ジラミ |
---|---|---|---|
形状 | ![]() |
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体長 | 1~2 mm |
2~4 mm |
2~4 mm |
寄生部位 | 陰毛 | 頭髪 | 頭髪 |
Images:Head Louse by KostaMumcuoglu, Body Lice by Janice Harney Carr
日本において、毛じらみは古くから身近な感染症として知られてきました。その件数は一旦は減ったものの、近年でも決して珍しい病気ではありません。2006年に実施されたインターネットリサーチを利用した実態調査 の結果では、日本では年間約83 万世帯で何らかのシラミ症が確認されることが推測されています。
ランダムに選ばれた57,100世帯を対象。過去2年以内に世帯内でシラミ症(アタマジラミ、ケジラミ、コロモジラミのいずれか)の発生があったのは2.34%(1,334世帯)であった。
ケジラミの生態
ケジラミは、オス・メスともにヒトの血液を栄養源としており、1日に数回吸血することがわかっています。
メスは1日1~10個のペースで産卵しますが、その卵はセメントのような硬い物質で毛根にしっかりと固定されます。その後1週間ほどで幼虫に孵化(ふか)し、成長と脱皮を繰り返しながら1~ 2週間で成虫となります。成虫は約1か月間生息し、その間に30~300個もの卵を産み付けることが分かっています。
ケジラミは、体長1~2mmとたいへん小さく、肉眼では白色でフケやめやにのように見えることもあります。しかし、別名カニジラミとも呼ばれるケジラミは、顕微鏡で見るとカニのような大きな爪を持ち、その爪で毛をしっかりと掴むことができます。
こうした特徴を見ると、ケジラミの駆除は大変難しいものであるように思えます。しかしケジラミは羽を持たず、さらに1日に10cm程度しか歩くことができないという弱点もあります。そのため、寄生が成立したヒトから離れた場合、生存期間は 48時間以内とされています。
Image by Josef Reischig
毛じらみを予防するには?

毛じらみに予防薬はありません。性行為による毛じらみの感染を予防するには自身とパートナーの健康状態をしっかりと確認することが大切になります。パートナーが毛じらみを発症していると疑われる場合は治療が済むまで性交渉を持ってはいけませんし、不特定多数の人との性交渉は大変危険です。後の「毛じらみの症状」でも詳しく説明しますが、毛じらみには潜伏期間があります。寄生直後にすぐに症状が現れない場合が多いため、特に気を付けましょう。
また、毛じらみは毛布などの寝具による感染もあります。パートナーや家族と一緒に寝ている場合は特に、寝具を定期的に洗濯したり、クリーニングに出したりしましょう。また、旅行先でも寝具が清潔な状態であるか確認することが重要になります。
毛じらみの症状
毛じらみの症状は基本的にはかゆみのみで、湿疹は出ないのが特徴となります。主な発症部位は陰毛周辺です。
しかしながらケジラミは陰毛以外の毛に寄生することも可能であるため、肛門の周り、わき、胸、太もものなどの部位で症状を発症することも珍しくありません。
また、ケジラミはアタマジラミと区別され頭髪に寄生することはないと考えられていましたが、近年その考えは覆され、特に小さなお子さんや女性の頭部での毛じらみの発症が報告されています。まれではありますがひげ、まゆげ、まつげなど顔面部位に寄生してかゆみを生じることも知られています。
これらのことから、治療をきちんと行わないと陰毛だけではなく体全体に感染してしまう危険性があることが分かります。
ケジラミの寄生は交尾を終えたメス1匹から始まり、その1週間後から1日1~10匹のペースで増えていきます。ある程度繁殖が進まないと症状を感じない場合が多く、一般的には寄生直後から症状が現れるまで1~2か月かかると言われています。
しかしながら症状の程度には個人差があり、数匹の寄生で激しいかゆみを訴える人もいれば、多数の寄生でもほとんどかゆみを感じない人もいます。
毛じらみの症状は、吸血の際に患部がケジラミの唾液に対してアレルギー反応を起こすことで発症すると考えられています。蚊などによる虫刺されとよく似ています。しかしながら、何らかの病気でステロイドを使用していたり、悪性リンパ腫を発症している場合では、そのようなアレルギー反応が起こらないことがあります。逆にひどいかゆみによってかきむしってしまい、その結果として湿疹が出てきたり、かきむしった部分から二次感染を起こしてしまうこともあります。
慢性的に毛じらみを発症していると、ケジラミに咬まれた痕として5 mm前後の青灰色のいびつな斑が残る場合もあります。ここまで症状が悪化してしまう前に治療を開始することが非常に重要です。
Image by KostaMumcuoglu
毛じらみと性病
毛じらみは主な感染経路が性交渉であることから、性感染症にも分類されています。また、毛じらみを発症しているとデリケートゾーンの皮膚に小さな傷がつき他の性感染症にも感染しやすくなります。そのため、毛じらみと診断されると梅毒やエイズなどの他の性感染症にかかっていないかどうかの検査も行われることがあります。
毛じらみになったら病院に行った方が良い?

毛じらみの治療には、市販されている毛じらみ対策のお薬やシャンプーの使用が効果的ですが、病院できちんと検査を受けることもできます。
病院で検査をする場合は、まず医師が拡大鏡で陰毛にケジラミやその卵がいないかどうかを確認します。そして問診ではケジラミの排泄する血糞による赤黒い点々状のシミが肌着やシーツにあったかどうかも確認されます。

頭髪に発症している場合は、アタマジラミの可能性もあるために原因昆虫の識別も行われます。前述した通り、成虫のケジラミはカニのような大きな爪を持っているだけでなく他のシラミと比べて丸い形をしているため、比較的簡単に識別できます。
卵でも識別は可能で、卵そのものの形や、毛根への付着の仕方が観察されます。ケジラミではセメント様物質が卵の下の端のみに付いていますが、アタマジラミでは卵の3分の1程度ともなる部分を包みこむように付いていることが知られています。
最近では、ダーモスコピーと呼ばれる皮膚をじっくり観察することの出来る器具があるため、ケジラミとアタマジラミの識別が素早く的確に実施されることが可能になりました。
毛じらみの治療
現在主流となっている毛じらみの治療方法は、主に物理的にケジラミを除去する方法と薬剤を使ってケジラミを殺虫する方法の2つがあります。
物理的にケジラミを除去する方法
薬剤などを使用せず、物理的に患部からケジラミを除去するには毛じらみを発症している部位の毛を剃ることが有効です。この方法である程度の幼虫と成虫のケジラミを駆除することができます。
しかしながら、頭髪やまつげ、まゆげなど見える部分となるとなかなか全ての毛を剃ってしまうことは難しく、また毛根に産み付けられてしまった卵にはカミソリが届かない場合が多くいため、完全に除去することはできません。
これらの理由から、毛じらみの治療では薬剤を使用する方法が一般的になっています。
薬剤でケジラミを殺虫する方法
もう1つの治療法として外用薬がありますが、毛じらみの治療薬として国内で認められているものは下記の2つです。両者ともに、薬局などで手軽に購入することが出来る市販薬です。
0.4%フェノトリンパウダー(スミスリンパウダー)
パウダー状の薬剤。適量を患部に散布し、1~2時間後に洗い流すことでケジラミを殺虫。
0.4%フェノトリンシャンプー(スミスリン L)
液体せっけん状の薬剤。入浴時に患部を洗うことでケジラミを殺虫。
この有効成分であるフェノトリンは、「合成ピレスロイド」と呼ばれる殺虫成分に分類されますが、これらの成分は害虫の神経伝導を遮断し、麻痺させ、死に至らせることで効果を発揮します。そのため、フェノトリンの使用は孵化後のケジラミの駆除には高い効果を期待することができます。
しかしながら、殻に守られている卵には効果が弱いため、長期間繰り返し使用しなければなりません。また、皮膚炎などの副作用も報告されているため、肌の薄い小さな子供に使用する場合は注意が必要となります。

そして、ケジラミに限らずあらゆる生体においてですが、薬剤耐性、つまり特定の薬剤が効かなくなる問題が生じることがあります。実際に、フェノトリンを含むパウダーやシャンプーに耐性を持つシラミが出現してきたという報告もあります。
こういった耐性を持つシラミは「スーパーシラミ」と呼ばれており、海外では下記のようなフェノトリン以外の殺虫成分で対処が図られています。しかしながらこれらの成分には深刻な副作用も報告されています。日本では主に農薬や畜産動物用の医薬品として使用されており、毛じらみの治療薬としては認められていません。
注意すべき3つの成分
- マラチオン
殺虫成分である有機リン剤の1種。日本では農薬として使われているが、アメリカではシラミの治療薬として承認されている。毒性があるため体内に入った場合、吐き気、下痢、頭痛などの症状が現れることがある。 - カルバリル
殺虫成分であるカーバメート剤の1種。日本では農薬や動物用医薬品として使われている。体内に入った場合には吐き気などの症状だけではなく、空気中や体内の成分と反応して発がん性物質を生じるため安全性は低い。 - イベルメクチン
内服薬。無脊椎動物が麻痺を起こし死滅する成分であるため、内服することで寄生虫を駆除することができるが、肝機能障害や血小板減少などの重大な副作用も報告されている。
このように、従来の毛じらみの治療にはカミソリで患部の毛を剃る方法と薬剤でケジラミを殺虫する方法がありますが、どちらの方法にも懸念点があることが伺えます。これからの毛じらみ治療では、孵化前のケジラミにも効果を発揮し、また、殺虫効果はあっても人体への毒性が低い薬剤の開発が重要になってきます。
毛じらみの治療上の注意点
毛じらみは身近な人との相互感染を繰り返すことがあるのでパートナーや家族と一緒に治療を開始・継続する必要があります。
また、毛じらみは全身で治療を行わないと再発を繰り返してしまいます。具体的な例としては、陰毛1か所だけで治療を行うとことによって、ケジラミが肛門周辺や太ももなど患部周辺へ逃げ込んでしまい、結果的に感染を広げてしまったというケースがあります。
さらにケジラミはヒトから離れてもある程度の期間(48時間以内)は生存することができるので、患部だけではなく身の回りの物もケジラミ駆除を行う必要があります。アイロンで衣服や寝具を熱処理したり、ドライクリーニングを行うことが効果的です。また、フェノトリンを含んだ噴射スプレーで帽子・寝具・カーペット・畳に付着するケジラミも殺虫しておくことで、更なる治療効果が期待できます。
これからの毛じらみ治療
前述した通り、従来の毛じらみ治療ではカミソリを使って物理的に毛じらみケジラミを除去する方法と殺虫成分を含む薬品を使って毛じらみケジラミを死滅させる方法があります。
どちらの方法もある程度の効果を期待できますが、毛じらみケジラミの卵には効果を発揮しないため、治療の長期化が懸念されてきました。
また、殺虫成分のフェノトリンをはじめとした「合成ピレスロイド」に耐性を示すスーパーシラミの出現や、殺虫成分そのものの人体への毒性や副作用も無視できない課題となっています。
そんな中、「ジメチコン」という新たな成分が、しらみ治療の分野において注目を集めています。
ジメチコンはシリコーンオイルの一種で、シラミを包み込んで窒息させるという強力なシラミ駆除効果を持っています。
臨床試験によると、わずか1回のジメチコン処理によって98.3%のシラミ駆除効果が認められています。
ジメチコンはフェノトリンに耐性をつけてしまった「スーパーシラミ」にも効果を発揮し、また、窒息作用という物理的な作用で効果を発揮するため、シラミが耐性をつけてしまう心配もありません。
人体への副作用がないことも報告されており、FDA(アメリカ食品医薬品局)から安全性について認可を受けています。
これからのしらみ治療において最も効果が期待でき、なおかつ安心・安全な成分であると言えます。
毛じらみ 治療法 |
ジメチコン | カミソリ | フェノトリン |
---|---|---|---|
成虫・幼虫への効果 | |||
卵への効果 | |||
治療可能部位 | 全身 | 一部 | 全身 |
薬剤耐性 | なし | なし | あり |
副作用 | なし | なし | 皮膚炎 |
ジメチコンは日本ではまだ認知度が低いものの、その安全性と即効性から、アメリカなどの欧米では高い評価を受けています。
すでにアメリカでは、シラミ治療として「ジメチコン」を使うのが一般的になっており、アメリカ皮膚科では、
特に効果が高い濃度100%のジメチコンが使用されています。
複数の臨床試験を比較した結果、
・4%ジメチコンの駆除率は2回の処理で70%に対し、
・100%ジメチコンの駆除率は1回の処理で98.3%
より確実な効果を得るには、濃度100%のジメチコンが重要という事が示唆されています。
日本で購入できる100%ジメチコンの製品としては、ドクターズチョイスのシラミンローションがあります。シラミンローションにはジメチコンが濃度100%で配合されており、その高いシラミ駆除効果に注目が集まっています。
シラミンローションの最大の特徴は、毛じらみを含むシラミの卵、幼虫、成虫の全てを最短15分間で一発駆除できることです。
最高濃度100%で配合されたジメチコンが、幼虫と成虫、さらに卵の呼吸器を塞ぎ、窒息させる効果があります。「窒息させる」という物理的な作用であるために「スーパーシラミ」にも効果を発揮し、また、新たに耐性がついてしまう心配もありません。
FDAに安全性が認可されると同時に、化粧品や飲み薬にも配合される成分であるため、人体への副作用がないことも注目を集めている理由の1つです。
ドクターズチョイスのシラミンローションはシラミンシャンプーと併せて使用することが推奨されています。
使い方としてはシラミンローションの使用後にシラミンシャンプーで洗うだけです。
シラミンシャンプーの有効成分であるティーツリーオイルとペパーミントオイルには毛じらみケジラミを殺虫する効果があります。そのため、万が一、シラミンローションを塗り損ねた場所で毛じらみケジラミが生き残ってしまったとしても、シラミンシャンプーでとどめを刺すことができ、短期間で毛じらみ治療が完了する優れた商品となります。
さらに、シラミンシャンプーに配合されているニームオイルは毛じらみケジラミを寄せ付けない効果があり、寝具や家族からの再感染の確率を下げることができます。
シラミンシャンプーの使用と併せてシラミンローションを使用し、家族全員での治療や寝具からの毛じらみケジラミ駆除をすれば再感染の確率は限りなくゼロに近くなります。
どちらの商品も副作用が心配される成分を含んでいないため、毛じらみを発症しやすいデリケートゾーンはもちろん、親子感染で毛じらみを発症してしまった小さなお子様にも安心して使用することができます。
まとめ
毛じらみは原因となる毛じらみケジラミの殺虫・除去で治療することができます。毛じらみケジラミが寄生する部位の体毛をカミソリで剃る方法や、フェノトリンをはじめとする殺虫成分を使用する方法が主流とされてきましたが、フェノトリンへ耐性を示す「スーパーシラミ」の出現で新たな方法が模索されています。
海外では農業や畜産業で使用される殺虫成分を医療で使用する動きも見られますが、重大な副作用が問題となっています。これからの毛じらみ治療では、安全性はもちろん薬物耐性を持つ毛じらみケジラミが新たに出現しない方法が求められます。
毛じらみケジラミの卵、幼虫、成虫全てにおいて強い窒息作用をもたらすジメチコンは今最も注目されており、すでにアメリカでは最先端のシラミ対策成分として新たなスタンダードになっています。
その安全性と即効性から、世界各国でも今後のしらみ治療の主流となることが期待されています。