【医師監修】N-アセチルシステインはどんな働きをする?
◇目次◇
- 医療専門家が「N-アセチルシステイン」の摂取を勧める理由
- 症状別:N-アセチルシステインの働き
- 免疫力を向上させる
- アンチエイジング、美肌効果
- 二日酔い防止、肝機能をサポート
- 血糖値を安定化
- 心疾患のリスクを軽減
- 生殖能力の向上(女性不妊、男性不妊の改善)
- 慢性気管支炎や喘息、肺線維症などの呼吸器系の症状の緩和
- 精神疾患の改善(抜毛症、PTSD、うつ病、統合失調症、強迫性障害、薬物依存の改善)
- 脳の病気(アルツハイマー病やパーキンソン病)の進行を抑制
- アセトアミノフェン中毒の解毒作用
- 新型コロナウイルスへの有効性に関する研究報告
- 自然療法医・スコッツ先生からの熱いメッセージ
医療専門家が「N-アセチルシステイン」の摂取を勧める理由
N-アセチルシステインはアミノ酸の1種で、肝臓で合成される抗酸化物質です。
体内で合成されると、人体に有害な物質と結合し、体外へ排泄する機能があることから、
体内の毒素排出にも非常に有効な成分として認められています。
その他にも、体の酸化のもととなる“活性酸素”によるダメージを防ぐのに役立ちます。
このことから、非常に高い抗酸化作用が認められており、N-アセチルシステインの効果は世界中の医療分野でも取り入れられており、注目を浴び続けている成分です。
N-アセチルシステイン:身体を守る強力な保護作用
症状別:N-アセチルシステインの働き
免疫力を向上させる
N-アセチルシステインは免疫機能の改善に効果が期待できるとされています。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)を持つ人がN-アセチルシステインを摂取することで免疫機能が大幅に回復したことが認められたり、体内でHIV-1の繁殖を抑制する可能性があること、癌細胞の複製を防止する効果も報告されています。
アンチエイジング、美肌効果
グルタチオンは体内で最も重要な抗酸化物質の1つであり、体内の細胞や組織を損傷する可能性のあるフリーラジカルを中和するのに役立ちます。
そのグルタチオンを生成するのに不可欠なN-アセチルシステインを摂取することで、グルタチオンの体内濃度が高まり、アンチエイジング効果や美肌効果を得られるとされています。
二日酔い防止、肝機能をサポート
飲酒の前にN-アセチルシステインを飲むことで、アルコールによる肝臓のダメージを最小限に抑えることが数々の臨床実験で証明されています。その理由はN-アセチルシステインが二日酔いの原因となるアセトアルデヒドを無毒化するためです。
血糖値を安定化
N-アセチルシステインが脂肪細胞の炎症を減少させ、それによってインスリン抵抗性を改善することにより血糖を安定化させる可能性があることを示されています。
今後、糖尿病の治療にも役立てられていくことが期待されています。
心疾患のリスクを軽減
心臓病や心臓発作などは、心臓組織の酸化が原因で引き起こされるとされています。
N-アセチルシステインは心臓組織の酸化による損傷を防ぐことから、心臓病のリスクを軽減する可能性があると報告されています。
また、一酸化窒素(NO)の産生を増加させることも示されており、静脈の拡張と血流の改善に役立ちます。 これにより、心臓への血液輸送が促進され、心臓発作のリスクを下げることができます。
生殖能力の向上(女性不妊、男性不妊の改善)
N-アセチルシステインは男性の精子の質を向上させ、女性の排卵率を52%改善させることが報告されています。女性における臨床実験では、被験者の女性は、生理開始3日目から1日1200㎎のN-アセチルシステインを5日間、経口摂取したところ、子宮内膜の厚みも有意に改善したことが報告されています。
その他には、卵子の質の改善や自然妊娠の可能性を高めるだけでなく、体外受精治療の成功率も高めること、流産を繰り返す患者さんの流産のリスクを低下し、妊娠率を高めることがわかっています。
また、女性の不妊の原因に多い子宮内膜症やPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の改善にも役立ちます。
慢性気管支炎や喘息、肺線維症などの呼吸器系の症状の緩和
N-アセチルシステインは気道の粘液を緩めることにより、慢性気管支炎や喘息、肺線維症などの呼吸器系の症状の緩和に役立ちます。
実際に、世界の医療機関でN-アセチルシステインは慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状の改善のために使用されています。
精神疾患の改善(抜毛症、PTSD、うつ病、統合失調症、強迫性障害、薬物依存の改善)
N-アセチルシステインは抜毛症や心的外傷後ストレス障害(PTSD)、うつ病、統合失調症、強迫性障害、薬物依存などの精神疾患の治療においても役立ちます。
研究において、N-アセチルシステインは1日2,400mgを8週間摂取することで、退役軍人の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を46%、薬物やアルコール依存を81%、うつ病を48%改善しました。
酸化ストレス:うつ病とのつながり
不安神経症とうつ病
N-アセチルシステインは、重度の不安神経症やうつ病の症状を緩和する可能性がある。
免疫系の炎症による発症
研究グループは、うつ病は、酸化ストレスに関連しているとする、うつ病に関する新しい説を発見した。
うつ病を発症した脳
うつ病の子供は、健康な子供と比較して、脳の1つの領域で重要な抗酸化物質であるグルタチオンのレベルが低いことが判明した。
脳の病気(アルツハイマー病やパーキンソン病)の進行を抑制
抗酸化物質であるグルタチオンは、加齢に伴う脳細胞の酸化により損傷を軽減することから、N-アセチルシステインがアルツハイマー患者の認知能力の低下を遅らせる可能性があることを示唆しています。また、別の実験では神経保護物質としての役割から、N-アセチルシステインがパーキンソン病の疾患を改善する可能性を秘めていると報告されています。
パーキンソン病患者23人を対象とした無作為化試験で、600㎎のN-アセチルシステインを1日2回、経口投与と体重1㎏あたり50mgのN-アセチルシステインの静注を併用したところ、神経保護作用や患者の精神的かつ身体的能力の改善がみられました。脳の画像診断でも、有益な変化が確認されています。
アセトアミノフェン中毒の解毒作用
アセトアミノフェンは解熱鎮痛薬の1種です。主に発熱や寒気、頭痛などの症状改善に用いられ、感冒薬にも広く含有されてます。アセトアミノフェン中毒になると、肝毒性などの症状を生じます。
N-アセチルシステインはこのアセトアミノフェン中毒に対して解毒作用があることで知られています。細胞内に吸収されにくいグルタチオンの代わりに、細胞内に吸収されやすいグルタチオンの前駆体であるN-アセチルシステインを投与し、毒性の代謝を促進することで解毒作用が働き、悪心、嘔吐、過呼吸、全身倦怠感、発汗、体温低下、食欲不振などの症状を緩和します。
新型コロナウイルスへの有効性に関するレビュー
ロシアの最新研究では、グルタチオン欠乏が新型コロナウイルスの重症化と関連していることを発表し、N-アセチルシステインの摂取が重症化を防ぐであろうという報告をしています。
2020年4月25日 発表:ロシア・クルスク州立医科大学研究
アレクセイVポロニコフ博士
徹底的な文献分析と独自の観察に基づいて、私はグルタチオン欠乏がCOVID-19感染患者の深刻な症状と死が関連しているという仮説を提案しました。
「重度のCOVID-19感染患者」と「中程度から重度の病気を持つCOVID-19感染患者」には相対的なグルタチオン欠乏症が相関しているという重大な結論に至りました。
- 酸化ストレスは、肺の急性呼吸窮迫症候群、多臓器不全および死亡などの有害な疾患を引き起こします。
- グルタチオン生成の低下および/またはグルタチオン欠乏による抗酸化防御の不良は、加齢、慢性疾患の併存、喫煙、その他の要因があるにもかかわらず、肺の酸化損傷を増加させる最も可能性の高い原因である。
この仮説は、COVID-19感染の深刻な症状の原因となる病因とメカニズムに対する新たな見解を提供し、N-アセチルシステインと還元型グルタチオンで回復するグルタチオンによる効果的な治療と病気の予防の有望な機会を正当化します。
参照元: https://www.researchgate.net/publication/340917045_Endogenous_deficiency_of_glutathione_as_the_most_likely_cause_of_serious_manifestations_and_death
_in_patients_with_the_novel_coronavirus_infection_COVID-19_a_hypothesis_based_on_literature_data_and_ow
2020年4月14日 発表:オリバーヴァンヘッケ博士、ジョセフリー博士
オックスフォードCOVID-19証拠サービスチームを代表
- N-アセチルシステインは、呼吸器疾患および新型コロナウイルス(COVID-19)を含む酸化ストレスが関与する疾患の治療または予防での使用が提案されています。
- 2020年4月3日の研究では、N-アセチルシステインに関する特定の新型コロナウイルスへの証拠は明らかになっておりませんが、他の急性呼吸器疾患の研究に至りました。
- インフルエンザおよび他の急性ウイルス性気道感染症における抗酸化剤としてのN-アセチルシステインの使用に関する臨床試験の証拠は非常に限られておりますので、さらなる研究が必要です。
参照元:https://www.cebm.net/covid-19/n-acetylcysteine-a-rapid-review-of-the-evidence-for-effectiveness-in-treating-covid-19/
COVID-19での使用推奨するために参照された臨床試験データ
N-アセチルシステインが使用された臨床研究(単独または別の薬物との組み合わせのいずれか)は、2つの母集団サブグループで粘液溶解剤としての使用に焦点を合わせています。
抗酸化作用があまり明白でない低用量の小児集団(6)低品質のエビデンスの主に1970年代と1980年代にさかのぼる研究。慢性気管支炎患者で、治療期間が長い(12±24週間)用量400±600 mg /日で、NACはプラセボと比較して慢性気管支炎患者の増悪のリスクを軽減し症状が改善された。(11試行、参加者2,011人)。(7)
※当研究結果は、あくまでも研究段階であり、治療目的での摂取をお勧めしているわけではございません。
参照元:https://www.cebm.net/covid-19/n-acetylcysteine-a-rapid-review-of-the-evidence-for-effectiveness-in-treating-covid-19/
自然療法医・スコッツ先生からの熱いメッセージ
N-アセチルシステインは体内で働くグルタチオンという成分の前駆体です。
このグルタチオンが欠乏すると、吐き気、嘔吐、疲労、代謝性アシドーシス等の兆候を経験します。
重度のグルタチオン欠乏症は脳や神経にさえ問題を引き起こす場合があります。
グルタチオンだけを摂ればよい、という考える方もいらっしゃいますが、グルタチオンを摂取するよりも、N-アセチルシステインを摂取することが大事なのです。
なぜなら、細胞内のグルタチオンを補充するためには、N-アセチルシステインが必要だからです。
グルタチオンレベルが上昇すると以下のような効果が期待できます。
- 免疫力や循環器系を強化します。
- 重金属、自動車の排気ガス、タバコの煙、工業用化学物質、農薬などのさまざまな汚染物質を解毒するのに役立ちます。
- 細胞の再生力を高めます。
- パーキンソン病などの神経系の病気を予防します。
- 体内の解毒、病気の予防に役立ちます。
- アルコールやたばこの解毒作用に役立ちます。
- ストレスや鬱の防止に役立ちます。
- 感染症や腸を修復することにも役立ちます。特に、あらゆる種類の善玉菌を配合したドクターズチョイス フローラケアプラスとの摂取は最強です。
- より明るく健康的な肌になります。
わたしが、ドクターズチョイス N-アセチルシステインをお勧めする理由は、N-アセチルシステインだけではなく、もう一つの強力抗酸化物質である、ビタミンCやアミノ酸の代謝に重要なビタミンB6が同時に配合されているからです。
このサプリメントは、成人男女の誰しもが毎日1日最低1粒は摂取すべきです。
タイミングは朝食前の空腹時がおすすめです。
この記事の監修ドクター
自然療法医 ヴェロニカ・スコッツ先生
ブラジルのリオグランデドスル・カトリック大学認定の自然療法専門医。アメリカ、カナダ、ブラジルの3カ国で認定された国際免許を取得しており、専門医として自然由来のサプリメントに関する知識と精密な現代科学のデータを組み合わせて診断や治療を行っています。自身のフィットネスインストラクターとしての16年間の経験を活かし、多くの患者が抱える肉体的な問題だけでなく、精神的な問題も含めて、自然由来のサプリメントを用いた新しい“先見的な予防医学”にも注力しています。