はじめに
この記事では、自宅で尿を5秒チェックするだけで、あなたの健康状態がわかります。
病気のリスクがないか、確認してみてください。
おしっこの回数、色の濃さ、にごり、におい、おしっこにかかる時間、排尿痛の有無でいろいろなことが分かりますよ!この記事を参考に、毎日を健やかに過ごしましょう!
尿チェックで分かる健康状態
原尿には、体に必要な栄養素などがたくさん含まれています。
尿管を通る時に原尿の99%が必要な栄養と共に体内に再吸収され、残りの1%が“おしっこ”として排出されます。
腎臓に障害があったり、体内の臓器に異常がある場合は、尿にも変化が現れます。
普段すぐに流してしまう尿を“5秒チェック”するだけで、こんなにいろいろなことがわかります!
尿チェックのポイント
健康 | 要チェック | 考えられる病気 | |
---|---|---|---|
トイレの回数 | 1日に、5~7回 | 1日に5回未満、8回以上 | ●低活動膀胱 慢性腎臓病 ●過活動膀胱(頻尿) 前立腺肥大症 前立腺がん |
排尿する時間 | 21秒 | 21秒以上 | 前立腺肥大症 |
排尿痛 | なし | あり | ●性感染症 ●膀胱炎 |
色の濃さ | 黄色 | 茶色、ピンク、赤 | 膀胱がん |
にごり | 透明 | 濁っている | ●尿路結石 ●神経因性膀胱 ●尿道炎 ●膀胱炎 ●腎盂腎炎 ●淋病、クラミジア |
におい | 甘い匂い、便の臭い | ●糖尿病 ●術後 |
|
泡立ち | 泡立ちが多い しばらくしても泡が消えない |
尿にタンパク質や糖が混じっている可能性あり |
トイレの回数
健康な人の尿の回数は1日あたり5~7回です。
1日あたり8回以上トイレに行く場合、過活動膀胱(頻尿)、1日あたり5回未満だと低活動膀胱の表れだと言えます。
過活動膀胱(頻尿、夜間頻尿)
尿の量・回数が多くなる原因は、単純に水分の摂りすぎということも考えられますが、尿の量・回数が多くなるのは他にもさまざまな病気の兆候である場合もあります。
原因別に症状を見ていきましょう。
過活動膀胱のしるし
- 1日あたり8回以上排尿する
- 尿が詰まった感じがする
- 尿がスムーズにできらない感じがする
- 残尿感がある
原因
膀胱の血流が悪くなっている、神経が傷ついている、筋肉が硬くなっているために、膀胱に尿をためにくい、膀胱の出口が緩みくいなど、膀胱の機能に問題が出てきます。
夜間に1回以上トイレに行くなら要注意!
就寝中に1回以上排尿のために起きることを「夜間頻尿」といいます。
夜間頻尿のある人はそうでない人に比べて死亡率が高いことが数々の研究で分かっていますので、関連する一部の研究を紹介します。
夜間頻尿と死亡率の関係の研究①
2447名の男性のデータを中央値約17年間分追い、就寝中に2回以上排尿のために起きる人とそうでない人の健康状態を比べました。すると、60歳以上の男性で就寝中に2回以上排尿のために起きる人は、死亡率が1.48倍であることが分かりました。
出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3508707/
夜間頻尿と死亡率の関係の研究②
143名の男女を54か月間追い、就寝中に3回以上排尿のために起きる人とそうでない人の健康状態を比べました。すると、就寝中に3回以上排尿のために起きる人は、死亡率が男性で1.9倍、女性で1.3倍高いことが分かりました。
出典:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10468725/
夜間頻尿と死亡率の関係の研究③
15,988名の男女のデータを分析したところ、就寝中に排尿のために起きる回数が多ければ多いほど死亡率が高くなることと、65歳未満の男女においてこの傾向が強く見られたことが分かりました。
出典:https://www.auajournals.org/doi/full/10.1016/j.juro.2010.09.108
夜間頻尿と死亡率の関係の研究①
2447名の男性のデータを中央値約17年間分追い、就寝中に2回以上排尿のために起きる人とそうでない人の健康状態を比べました。すると、60歳以上の男性で就寝中に2回以上排尿のために起きる人は、死亡率が1.48倍であることが分かりました。
出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3508707/
夜間頻尿と死亡率の関係の研究②
143名の男女を54か月間追い、就寝中に3回以上排尿のために起きる人とそうでない人の健康状態を比べました。すると、就寝中に3回以上排尿のために起きる人は、死亡率が男性で1.9倍、女性で1.3倍高いことが分かりました。
出典:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10468725/
夜間頻尿と死亡率の関係の研究③
15,988名の男女のデータを分析したところ、就寝中に排尿のために起きる回数が多ければ多いほど死亡率が高くなることと、65歳未満の男女においてこの傾向が強く見られたことが分かりました。
出典:https://www.auajournals.org/doi/full/10.1016/j.juro.2010.09.108
夜間頻尿のある男性は注目!
前立腺肥大症、前立腺がんが夜間頻尿を引き起こしている場合があります。
前立腺が肥大すると、交感神経の働きによって膀胱の出口が締まってしまうことで、昼間はトイレが遠くなります。夜間になると副交感神経の働きで膀胱の出口がゆるみ、トイレが近くなるのです。
前立腺肥大症、前立腺がんは早期発見が大切。夜間頻尿が早期発見の機会になります。
夜間頻尿&夜中にのどが渇いて起きる人も注目!
夜にトイレに起きるし、のどが渇いて水分を摂る人は、重度の糖尿病の可能性があります。
高血糖状態が続くと、血液がドロドロしてきます。水分補給をすることで血液をサラサラにしようと、のどが渇くようになっているのです。生活習慣を改めたり、血液検査をして血糖値を把握することを検討しましょう。
多尿症(尿崩症)
通常、就寝中はバソプレシンという抗利尿ホルモンが分泌され、排尿回数が少なくなりますが、脳腫瘍や脳の手術後の後遺症で、このホルモンが正常に分泌されず、もしくは、腎臓に問題があってこのホルモンを正常に受け取ることができず、夜間頻尿になる場合があります。
豆知識
眠っている間に呼吸が止まってしまう、睡眠時無呼吸症候群も夜間頻尿の原因となります。
睡眠時無呼吸症候群は自覚症状の少ない病気です。
睡眠時無呼吸症候群があると、睡眠中も脳の交感神経がたかぶることで、膀胱の筋肉が硬くなり、そして心臓から利尿ホルモン(心房性ナトリウム利尿ペプチド)が分泌され、夜間頻尿が引き起こされるのです。30代、40代の若い世代で夜中にトイレに起きる方は睡眠時無呼吸症候群を疑ってもいいでしょう。
低活動膀胱 リスク大
低活動膀胱では、尿が溜まっていても「尿が溜まっている」ことに気づきにくくなり、トイレが遠くなります。また、膀胱の筋肉が衰えているため、スッキリと排尿することができなくなります。
原因
- 膀胱に行き渡る血液の減少
- 膀胱に酸化ストレスがかかる
- 肥大がかなり進んだ前立腺肥大症
リスク
- 尿道や膀胱が細菌感染しやすくなる
- 尿路結石ができやすくなる
- 腎臓機能が低下し、水腎症に…
水腎症とは:膀胱に入りきらなかった尿が腎臓に逆流。腎臓が膨らんでしまう病気。 - 低活動膀胱が悪化するとカテーテルを挿入して強制的に排尿するしかなくなる
低活動膀胱が悪化すると・・・
低活動膀胱が悪化すると・・・
排尿する時間
理想的な排尿時間は21秒間です。
排尿し終わるまでに21秒以上かかる場合には、膀胱の筋肉が落ちていると考えてよいでしょう。
男性の場合は前立腺肥大症の疑いも出てきます。
排尿痛
濃い尿が出るときに尿道が染みる場合もありますが、排尿痛は主に感染症の現れです。
膀胱炎や性感染症が主な原因です。
色の濃さ
尿は普通、淡い黄色で透き通っています。
尿の色の濃さは基本的に尿の水分量によって変わります。
第一ポイント!➡ 血尿はすぐに病院に行きましょう!
一口に血尿と言っても、鮮血の赤やピンクっぽい色だけでなく、紅茶のように赤みがかった茶色の場合もあります。
➡ 血尿は膀胱がんの表れである可能性があります。すぐに病院に行きましょう。
豆知識
サプリメントやエナジードリンクを飲むと、尿が蛍光色のようなまっ黄色になることがあります。
この黄色はビタミンB2の色で、不要な分のビタミンB2が尿に溶けだしているという状態です。
サプリメントや栄養ドリンクの摂取後、数時間はこの状態が続きますが、健康被害が起こることはたいへんまれですので、安心してくださいね。
にごり
健康な尿は色が濃くても薄くても透き通っています。 白く濁っている場合には、『塩類の結晶』が混じっているか『膿』が混じっているかの二通りです。
塩類の結晶で尿が濁っている場合
たいていは心配ありませんが、尿路結石や、神経因性膀胱(蓄尿や排尿の信号がうまく伝わらなくなる病気)の表れである場合もあります。
膿によって尿が濁っている場合
尿道炎、膀胱炎、腎盂腎炎(じんうじんえん)の可能性(男性の場合には前立腺炎の可能性があります)
※ 女性の場合には、尿に白っぽい浮遊物が混ざることがありますが、おりものの場合が多いです。
尿道炎
淋病やクラミジアなど性感染症が原因の場合が多い。女性の場合は悪化すると卵管炎や骨盤炎に進行してしまったりして、不妊につながる場合があります。なるべく早めの対策がしたい病気です。
膀胱炎
大腸菌などの病原菌が尿道から侵入、膀胱に到達し、膀胱で細菌感染症を引き起こします。比較的繰り返しやすい病気です。
腎盂腎炎(じんうじんえん)
腎臓の中の尿をためておく場所を腎盂(じんう)と言います。大腸菌などの病原菌が尿道から侵入、尿管、腎臓にさかのぼって腎盂で細菌感染を起こすのが主です。尿路結石があったり、カテーテルを使用していたりすると、発症リスクが高まります。
におい
尿のにおいに関してはそれほど神経質になる必要はありませんが、明らかにいつもと違う悪臭がしたら、要注意です。
- 糖尿病
御存じの方は多いかもしれませんが、尿が甘い匂いがするのは、糖尿病が進んでいる表れです。 - 手術後の内臓の癒着
膀胱がん、子宮筋腫、子宮がんの手術後に膀胱と大腸が癒着してしまい、尿がうんち臭くなる場合があります。
豆知識
食べ物でも尿のにおいは変わります。その中でも代表的なのは、アスパラガス。アスパラガスにはアスパラガス酸という特有の成分が含まれており、消化の際に硫黄化合物が生成されます。この硫黄化合物が尿に溶けだすことで、いつもと違うニオイがするのです。
尿のニオイを変える食べ物はいろいろあります。
しいたけ タマネギ 芽キャベツ
大根 お酒 にんにく コーヒー
いずれの食べ物も、尿のニオイを変えるだけで、健康被害は引き起こしませんので、安心してくださいね。
泡立ち
基本的には尿の泡立ちからは気にする必要はありませんが、
- 以前よりも泡立ちが多い
- しばらくしても泡立ちが消えない
加齢とともに膀胱が固くなる理由とは?
私たちの膀胱は、年齢と共に硬くなる、つまり柔軟性を失います。柔軟性を失う理由は、私たちの体が老化するとともに、膀胱も老化するからです。
膀胱が固くなる主な原因:- ホルモンの分泌量低下
- 出産経験による、骨盤定筋の機能低下
- ストレス
- 肥満
- 冷え
もう一つ、膀胱が固くなる理由として、一酸化窒素の分泌量が減ってしまうからというのもあります。この物質には、血管などの筋肉を柔らかく保つ作用があり通常、血管内皮から分泌されます。膀胱や膀胱の出口も例外ではありません。一酸化窒素の働きによって、膀胱は柔軟性を保たれているのです。しかし、この一酸化窒素、加齢や乱れた生活習慣で分泌量は減っていきます。
おうちでできる!膀胱の柔軟性を保つエクササイズ
膀胱そのものの筋肉を意図的に動かくことはできませんが、下腹部を動かすことで膀胱の筋肉をストレッチさせ、膀胱の筋肉の柔軟性を保つことができます。
尿道エクササイズ
トイレに入ったら、3~5秒間、尿を我慢するだけ!
※ 数秒間の我慢なら、エクササイズになりますが、トイレを長時間我慢するのは膀胱炎の原因になりますので注意してください。
肛門エクササイズ
これはどこでも、座ったままでもできます。肛門を5秒間締めて、緩めるのを10回ほど繰り返します。間接的に膀胱の筋肉をストレッチすることになります。
太ももの筋肉やインナーマッスル(コアマッスル)を鍛える
太ももの筋肉やインナーマッスルを鍛えることで、間接的に膀胱の筋肉をストレッチすることになるだけではなく、筋肉の柔軟性を保つ男性ホルモン(テストステロン)の分泌を促すことができます。
膀胱の柔軟性を保つ成分を摂る
実は、膀胱の柔軟性を保つ成分を食事から摂ることができます。
~膀胱の柔軟性を保つ成分~
- アルギニン
準必須アミノ酸の一種。鶏肉、牛乳、エビ、大豆などに含まれています。 - シトルリン
遊離アミノ酸の一種です。
スイカ、メロン、ゴーヤ、きゅうりなどに含まれています。 - 抗酸化成分
細胞にダメージを与えてしまう活性酸素による影響を抑えてくれます。
ポリフェノール、カルテノイドなどが主。ブルーベリーのアントシアニン、大豆のイソフラボン、緑茶のカテキン、緑黄色野菜や果物のベータカロテンやリコピンなどが有名。
アルギニン・シトルリンをお手軽においしく摂る方法
アルギニン・シトルリンの働きについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
「最強の抗酸化成分」N-アセチルシステインをたっぷり摂る方法
残念ながら、「最強の抗酸化成分」と呼ばれるN-アセチルシステインは、食事から摂ることができません。そのN-アセチルシステインがカンタンに、たっぷり摂れる方法があるんです!それがN-アセチルシステインサプリメントで摂ること!
N-アセチルシステインの働きについて知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
女性に多い膀胱炎。泌尿器科医も推奨する対策方法は?
膀胱炎の治療には基本的に抗生物質が用いられますが、抗生物質は残念ながら、根本的な治療にはなりません。なぜなら、抗生物質が体にいる良い菌も同時に殺してしまい、悪い菌が増殖しやすい環境を作ってしまうから。再発しやすくなってしまうのです。
そこでおすすめなのが、クランベリー抽出物と乳酸菌で膀胱炎対策をすること!
膀胱炎対策について知りたい方はこちらの記事をご覧ください!
腎臓にやさしく過ごそう!
尿は腎臓で作られて、膀胱で貯められます。腎臓には血液のpH(ペーハー)を細胞が働きやすい範囲に調節する働きがあります。血液中の余分な酸を中和したり、尿の中に排出してくれるのです。しかし、腎機能が低下していると、体は酸を中和しようと、アルカリ性である骨を溶かし始めます。すると、骨がもろくなります。
過度の糖質制限や、肉類の食べ過ぎが腎機能を低下させる原因になります。
これらを避けて、バランスの良い食事を心がけるようにしましょう。
尿酸値対策について知りたい方はこちらの記事をご覧下さい!
まとめ
- おしっこを見ることで様々な病気の兆候が分かる!
- 膀胱の筋肉の衰えは恐ろしい病気を引き起こす。
- 簡単な運動で膀胱の柔軟性を保つことができる。
- 膀胱の柔軟性を保つ成分があり、サプリメントで補うこともできる。